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岸博幸氏「高齢者の社会保険料」一律支援は限界だ 治療の費用で実感した事、インタビュー後編

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 12時0分

だから、高齢者を一律にするんじゃなくて、基礎年金だけで生活されている高齢者は徹底的に制度で守り、資産を持っている人には年齢に関係なく、それなりに負担をしてもらう。彼らまで同じように守るのには、無理があります。

昭和のモデルはもう通用しない

――社会保険料がどんどん上がって、現役世代は本当に苦しいんです(涙)。

それに関して言うと、僕は病気になったことで自分の人生を反省し、生き方を変えたけれど、日本も、若い人たちも変わっていかないとまずい。

日本は高度成長期以降、企業が中心となって経済を回してきた。個人じゃなくてね。それでもあの当時は人口も経済も右肩上がりだったから、何とかなっていたんです。

終身雇用も、源泉徴収も、健康保険もすべて企業が中心だった結果、みんな自分のためではなく、“企業のため”に動くようになった。

ある意味、これは途上国型モデルですよ。日本は人口減少が始まって13年。成熟した国になった今、昭和の頃のモデルが通用するはずがないんです。

――令和になっても、昭和モデルのまま?

そう。特に失われた30年の影響で、経済がこれだけ弱くなってしまった今、日本は企業中心の価値観を、個人中心に変えていかないとダメです。

国の成長を表す指標にGDP(国内総生産)ってあるでしょ、あれ、日本は4位に落ちたって騒いでるけど、実は一人当たりGDPは34位で、G7のなかでビリなんです。加えて、国別の幸福度ランキングも日本は47位でえらく低い。

もう1つ意外と知られてないデータがあるんですが、所得税を払っている人のうち、年収330万円未満の人ってどれくらいいると思います? 8割なんですよ。先進国のはずなのに、5人中4人が年収330万円未満。地方なら年収300万円以下で暮らしている人たちもいる。

日本ってとことん貧乏で、とことんハッピーじゃない国になっちゃったんです。もう少し個人の収入が増えて、幸せになれる国にしないとダメっていうのは、入院中にすごく感じたことです。

昔みたいに企業が社員を支えられるならいいけれど、もうそういう時代じゃない。そう考えると、やっぱり政策や価値観などを、企業中心の仕組みから個人にフォーカスした形に変えていかないと、成熟した先進国になれないんじゃないという気はしています。

自分で稼ぐ力を強化する必要

――日本は、成熟した先進国になれるのでしょうか。

それが……言うは簡単で、実際に政策や制度を変えるのは大変なんです。

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