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「それでも日本株は上昇する」と言える2つの根拠 景気はよくないのに株価が高いのはおかしい?

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 9時0分

インフレもあり、国内の消費は弱いままだ。だが今後の日本株を考えると、悲観的に考える必要はなさそうだ(写真:ブルームバーグ)

筆者は、今後1年以内に日経平均株価が再び4万1000円を超えると予想している。

アメリカでは年後半以降、中央銀行にあたるFEDが利下げを開始し、同国経済の底堅さが維持されることによって、世界的に株価が上昇基調を維持する可能性が高い。一方、日本でも企業の資本効率改善など固有の上昇要因があり、それらが株式市場への資金流入を促すことになりそうだ。

今回は筆者が注目している、以下の2つの視点から日本株を展望していきたい。それは「名目GDP」と「半導体」である。

株価にとって重要な名目GDPは順調に増加

まず前者から見てみよう。5月16日に発表された日本の2024年1~3月期の実質GDP(国内総生産)成長率は前期比年率マイナス2.0%となった。マイナス成長となったのは2四半期ぶりで、日本経済の停滞を印象付けた。自動車大手の工場稼働停止という特殊要因が尾を引いた形だが、それだけでマイナス成長を説明することはできない。

北米向け自動車や半導体製造装置など外需(輸出)は拡大傾向にあるものの、内需、とくに個人消費が前年比で見てもマイナス0.2%と水面下に沈んでいる。巷間言われる「実体経済が弱いのに株価だけが上がった」というのは否定しようのない事実であろう。

もっとも、こうした日本経済の停滞は、物価変動の影響を除去した「実質」の話である。実は、株式市場にとって重要な「名目」でみると大きく姿が変わる。

名目GDP成長率は直近こそ一服感がみられるものの、インフレの追い風を受けて前年比ではプラス3.4%と大きく拡大し、年間では599兆円と600兆円の大台をはっきりと視界に捉えている。

アベノミクス開始当初に掲げられた、当時としては極めて野心的な目標が、今まさに達成されようとしている。実質と名目の差を説明するのはGDPデフレーター(名目GDPの物価水準の変化分を調整するときに用いられる指数)だ。この指標はデフレ期において長らくゼロ以下で推移したが、直近の前年比伸び率はプラス3.6%と高い伸び率にある。

このGDPデフレーターの内訳を見ると、既往の輸入物価上昇と労働コスト増加を価格に転嫁する動きが相まって、国内需要デフレーターが同プラス2.6%と高い伸びを維持した。

一方、控除項目である輸入デフレーターは同プラス2.8%と3四半期ぶりに上昇に転じてGDPデフレーターの下押し(≒交易条件の悪化)要因となったものの、輸出デフレーターが同プラス7.8%と大きく伸びた。「付加価値の単価」とも言うべきGDPデフレーターの拡大は、名目値の企業収益が膨らむことを意味する。

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