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日テレ・小学館の「調査報告書」に釈然としない理由 「セクシー田中さん」問題はどこに向かうのか

東洋経済オンライン / 2024年6月5日 23時0分

(画像:ドラマ「セクシー田中さん」公式サイトより)

ドラマ「セクシー田中さん」騒動は今後どうなっていくのでしょうか。

【写真】日テレの報告書から見えてきたことは…

日本テレビが先週末の5月31日、小学館が週明けの6月3日にそれぞれ、ドラマ「セクシー田中さん」(日本テレビ系)の制作にかかわる調査報告書を公表し、波紋が広がっています。

どちらも約90ページにわたる長さに事の重大さが表れていましたが、ネットメディアがこれを報じると、記事のコメント欄やSNSに反響が殺到。しかし、その大半は「調査内容に納得できる人ってどれくらいいるのでしょうか」「問題の核心に迫りきれていないのでは」「以後気をつけます、じゃ絶対なくならない」などの厳しい声でした。また、なかには「これが5カ月かけてだした結論?」「人が1人亡くなっているのに、まだこの程度の改善か、とガッカリ」などの怒りがにじみ出たものも少なくありません。

才能あふれる漫画家の命が失われ、名作と呼ばれるべき作品に影を落としたのですから、怒りをぶつけたくなる気持ちは理解できます。ただ、感情論に走ると本質を見失うほか、誰かを過剰に傷つけ、クリエイティブを阻害しかねないだけに、今こそ冷静な視点が必要でしょう。

両社の調査報告書から見えた問題の背景にはどんなことがあるのか。どのように再発を防いでいけばいいのか。そして、第三者の私たちが向き合うべきことは何なのか。日ごろテレビ局や出版社とやり取りをしていて両方の現状を知る立場から忖度なく掘り下げていきます。

「認識の齟齬」と「ミスコミュ」

日本テレビの調査報告書は、「第1 特別調査の概要」「第2 前提となる事項」「第3 認定された事実」「第4 本件の分析・検証」「第5 今後へ向けた提言」。一方、小学館の調査報告書は、「第1 事案の概要」「第2 調査について」「第3 調査結果」「第4 考察」「第5 再発防止策の提言」。どちらも5項目であるほか、その構成は“ほぼ同じ”と言っていいものでした。

なかでもポイントは、調査報告書の大半が割かれた「第3」の事実関係であり、さらに重要なのは「第4」の分析・考察。調査チームが「何が原因だったのか」をつづったところであり、長い調査報告書の“結論”に近いところです。

日本テレビの「第4 本件の分析・検証」には、総論として、「原作者と制作サイドとの制作進行方法等に関する認識の齟齬や、ミスコミュニケーションの存在がうかがわれた」と書かれていました。そして、これらを契機に原作者の制作サイドに対する不信感が高まり、第9・10話の脚本制作、脚本家名のクレジットなどの問題点につながったこと。その結果、脚本家と原作者のSNS投稿が行われ、ネット上で賛否両論の意見が飛び交う事態に至り、悲しい結果につながったと分析しています。

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