「親の時代とは別物」内申点の"インフレ"が生む誤解 英語の評定で3人に1人が「5」の学校もある
東洋経済オンライン / 2024年6月7日 16時0分
首都圏の受験者数が9年連続で増加するなど、収まる気配のない中学受験の過熱ぶりですが、現役塾講師であり教育系インフルエンサーの東田高志(東京高校受験主義)さんは、その理由の1つとして「高校受験の情報が少なすぎる」と指摘します。親世代の時代と比べて大きく様変わりしている高校受験の現状とは、いったいどんなものなのでしょうか?
東田さんの著書『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと: 4万人が支持する塾講師が伝えたい 「戦略的高校受験」のすすめ』より一部抜粋・再編集してご紹介します。
親世代よりも倍増している評定「5」の割合
保護者からの声でよく耳にするのが、公立中学校の内申点(評定)に関する不安です。かつての内申点制度と現在のものは大きく異なり、その違いを正確に理解することで、受験への不安を軽減できるでしょう。
【グラフで比較】親世代と比べて「5」が倍増した現在の内申分布
2001年までの公立中学校は、相対評価という評価の方法を採用していました。評定「5」の割合が全体の7%、「4」が24%、「3」が38%、「2」が24%、「1」が7%と、評定が正規分布になるように、あらかじめ割合が厳格に定められていました。
この評価方法は、学力レベルの高い中学校ほど「5」が取りづらいという問題点がありました。
2002年以降、評価方法は大きく変わりました。相対的な評価から、生徒一人ひとりの到達度を重視する絶対評価へとシフトしたのです。これにより、各中学校は地域の学力の実情や生徒の努力に応じて、自由に評定をつけることが可能となりました。
絶対評価への移行がもたらした最も大きな変化は、評定が「2」や「1」の割合の低下です。相対評価時代は成績下位31%の生徒がこの評定に該当しました。現在は東京都の平均でわずか15%程度しか「2」や「1」の評定の生徒はいません。
さらに、「4」や「5」の評定の割合は大きく上昇しています。特に評定「5」の割合は7%から約14%へと倍増しました。全体的に内申点の平均値が上がり、「オール4」や「オール5」をより多くの生徒が獲得しています。この状況を「内申インフレ」と呼んでいます。
※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください
「内申インフレ」が生む保護者の錯覚
相対評価を受けた世代の評定のイメージは次のようなものです。
5 → 優秀
4 → 少し優秀
3 → 普通
2 → 学力に不安あり
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