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「親の時代とは別物」内申点の"インフレ"が生む誤解 英語の評定で3人に1人が「5」の学校もある

東洋経済オンライン / 2024年6月7日 16時0分

しかし、現在の評定のイメージは次のようになります。

5 → 優秀~少し優秀
4 → 普通
3 → 学力に不安あり
2 → 学力にかなり不安あり

内申インフレの影響で、保護者と塾講師の間で、評定の認識に溝ができています。

内申インフレの恩恵は、上位校を目指す受験生が受けています。高い評価を得る受験生が増加したことで、難関高校を目指す動機づけとなり、より高い目標を持つ受験生が増えました。難関高校を目指す受験生にとってはプラス要素になっています。

しかし、この内申インフレは塾側にとって、必ずしも歓迎できるものではありません。学力下位層の生徒とその保護者が、危機感を抱きづらくなってしまったからです。

現行の「オール3」は、学力的には平均を下回る状況です。

ところが、保護者は相対評価時代のイメージがあるので、真ん中ぐらいの学力はあるだろうと錯覚してしまいます。中学3年生で模試を受けて、その現実を知り、慌てふためくことになります。

「あの中学は評定が甘い!?」内申格差の真相

保護者がこんな噂話をすることがあります。

「A中学は内申点が取りづらいらしい」

「B中学は内申点が取りやすいと聞いた」

こうした内申点に関する噂のほとんどが、丹念に分析を進めると的外れであることがわかります。

実際に学校によって「内申格差」はあるようです。

次の表は、文京区立のある中学校と、都内のある市立中学校の評定の分布図です。文京区は都内でもトップクラスの高学力エリアです。区立中学校全体の評定「5」と「4」の割合は48%にのぼります。つまり、ほぼ2人に1人の評定が「4」以上であるということです。

文京区立中学校は、評定が甘い先生が集まっているのでしょうか。そんなことはありません。学力の高い生徒が多いから、評定が高くなるのです。

学校の先生はエリアを超えて異動をします。中学校の評定は9人の先生の平均値です。特定の中学に、評定の甘い先生が集まることはありません。

評定平均の高い中学校は、内申点が取りやすいわけではありません。学力の高い生徒が集中するエリアの中学校であるということです。内申点に関する噂話には、惑わされないようにしましょう。

東京都内の全公立中学校の中で、英語の評定「5」の割合が最も高いある中学校があります。この学校の英語「5」の割合は34.4%。つまり、3人に1人以上が最高評価を受けているのです。これは東京都平均の2倍以上の数字になります。

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