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"炊飯器と旅する"女性「にぎりびと」の意外な正体 「世の中で一番偉いのは炊飯器」神谷さん(前編)

東洋経済オンライン / 2024年6月8日 7時10分

嬉野に通うようになって知ったのは、1300年前から温泉があり、500年前から嬉野茶があり、400年の歴史がある肥前吉田焼もある。その土地で生まれるお米でおにぎりをにぎって、お茶といただくというのは格別の体験となります。

同時に日本の食文化を地方から発信する『ライスツーリズム』を発案して、全国でおにぎりをにぎる活動を始めましたが、嬉野はそのスタート地としても打ってつけの場所でした」

以来、神谷さんは全国各地、海外であっても、愛用の炊飯器を携え、フットワーク軽く飛んで行っておにぎりをにぎる。

「にぎりびと」という名称は、『スラムダンク勝利学』などの著作のある、スポーツドクターで文筆家の辻秀一さんの命名。

神谷さんがおにぎりをにぎる活動を開始するときに「肩書に困っている」と相談をすると「神谷さんを見ていて、しあわせをにぎる、思いをにぎる、手でにぎる、ごきげんをにぎるイメージが浮かぶから『にぎりびと』でどうですか?」とメールをくれたという。

以来、「にぎりびと」を名乗るようになった。

スペインの二つ星シェフがおにぎりに殺到

神谷さんの「にぎりびと」としての活動は国内ばかりでなく、海外にも広がっている。

2022年にはイタリア・トリノで開かれた世界スローフード大会に参加。120キロの米を手持ちで持ち込み、5日間で2000個近いおにぎりをにぎった。

「にぎっては消え、にぎっては消えで、みなさんに『onigiri! onigiri!』と連呼していただき、もう感動でした」

外国の一流シェフたちにも神谷さんのおにぎりは好評を博す。

佐賀県がスペインから二つ星レストラン「ムガリッツ(MUGARITZ)」のシェフを招いて食のイベントを主催したときのこと、神谷さんもそのイベントに呼ばれておにぎりのブースを出した。

「シェフは3人でいらしていて、私のブースにも来てくださいました。

地元のおいしいものがいろいろ並ぶ中で、おにぎりなんて地味ですよね。しかもおにぎりを手渡しして、受け取ってもらえるかどうかもわからない。手で食べるという文化がないから。でもちゃんと受け取ってくれて、もうニコニコして大喜びで食べてくださったんです。

その様子を撮影していたカメラマンがあとからいうには『シェフたちが神谷さんのところから動かないから、他のところが撮影できなくてどうしようかと思いました』って(笑)」

シェフ3人は帰国日の朝ごはんに、「もう一度、神谷さんの、あのおにぎりを食べたい」と所望し、神谷さんは急遽、シェフたちにおにぎりをにぎったという。

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