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トヨタ・マツダ・スバル「新エンジン開発」の真意 マルチパスウェイに込められた各社の戦略

東洋経済オンライン / 2024年6月8日 12時30分

冷静に考えれば、水平対向エンジンは熱効率にハンディがあり燃費向上が難しく、ドライブシャフトで後輪に駆動力を伝えるAWDは、e-アクスルを使った電動AWDに効率性で敵わない。

新しい水平対向エンジンの開発も視野に

藤貫哲郎・取締役専務執行役員CTOによれば「しかし、これらアイデンティティを手放しても、スバルはスバルらしくいられるのか。商品は独自性、エモーションという部分も考慮しなければならない」と考えたときに、答えは決まったという。このハイブリッドシステムは今秋発売の新型フォレスターにも搭載される。

さらに将来に向けては、新しい水平対向エンジンの開発も視野に入れているという。冷間始動時の燃費悪化に繋がっているエンジンの暖まりの遅さは、例えば大容量のバッテリーを積んでいれば、その電力を使ったプレヒーティングなども考えられる。電動化で欠点をうまく潰せば、サイズが小さくエンジン回転が滑らか、シンメトリカルAWDを低コストに構築できる水平対向エンジンには、まだ勝機がある。スバルはそう踏んでいるのである。

続いてはトヨタ。発表したのは大幅なコンパクト化を図った直列4気筒ガソリンエンジンだが、驚いたのは会場に、すでにそのエンジン自体が展示されていたことだ。

コンセプトは、BEVを起点にPHEV、HEVを考えた際に必要な内燃エンジン。例えばBEVにおいては、薄型バッテリーや小型化した空調ユニットなどを使い、BEV最適設計を推し進めれば、フードが低くスタイリッシュなクルマを作りやすくなる。昨年の「JAPAN MOBILITY SHOW 2023(モビリティショー2023)」でお披露目された「レクサスLF-ZC」が、まさにその具現化された姿だ。

トヨタが考えているのは、従来のように内燃エンジン車を起点に電動車を考えるのではなく、その逆。こうしたパッケージングなどのメリットを最大限に活かしながら、航続距離や充電インフラ不足といったBEVの弱点を、内燃エンジンで補うクルマである。そのためには電動ユニットとの組み合わせを前提に、BEV用の車体にも搭載できる小型エンジンが必要だ、というロジックだ。

新エンジンでは大幅な小型化を実現

そんな背景から開発されているエンジンは1.5Lの自然吸気とターボ、そして2.0Lターボの3種類の直列4気筒ユニットである。いずれもショートストローク化によって全高を抑えており、1.5L自然吸気エンジンは既存の直列3気筒1.5Lに対して体積、全高をそれぞれ10%低減。1.5Lターボは同等の出力となる現行2.5Lに対して、やはり体積を20%、全高を15%も低減している。

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