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トヨタ・マツダ・スバル「新エンジン開発」の真意 マルチパスウェイに込められた各社の戦略

東洋経済オンライン / 2024年6月8日 12時30分

会場には現行「プリウス」の1.8Lエンジンを、この新型1.5Lに置き換えたモデルも置かれており、見ればどれだけエンジン高が下がるか、つまりボンネットを低くできるかは一目瞭然だった。LF-ZCの極端に短く、低いボンネット内にも、確かにこれなら収まるかもしれない。

実はエンジン単体で使うことも排除されてはいない。将来、エネルギーが電気と水素に収斂したならば、電気はBEVに使い、水素はそのまま燃焼させて、もしくはCO₂と結合させてe-フューエルにして、内燃エンジンに使えばカーボンニュートラルへの道が容易になるとトヨタは見ている。新車の20倍とも言われる現保有車の存在を考えれば、この道も重要だ。

この日に先立って筆者は、この新型エンジンのうち2.0Lターボ仕様を載せたテスト車両2台を運転することができた。1台は「レクサスIS」に積まれたものでスペックは最高出力400PS、最大トルク500Nm級。もう1台はピックアップで、同300PS、400Nm級のスペックに新型6速MTを組み合わせていた。

短時間の試乗でも、前者のアクセル操作に対するツキの良さと高回転域の伸びの良さ、後者の豊かなトルク感は十分に実感できた。実際、1台のエンジンでスポーティセダンからピックアップまでカバーする適応力を持っているわけだが、実はバックヤードにはモータースポーツユースまで意識した600PS級の仕様も展示されていた。

技術的ブレークスルーの可能性

気になるのはショートストローク化のレシピである。一般的にロングストロークのほうがエンジン内部のフリクションが少なく、また空気と燃料が混ざるための時間を稼げることから燃焼効率も高めやすい。いったいどんな技術で、これを実現しているのかについてプレゼンテーションを行った中嶋裕樹・取締役副社長CTOは明言を避けたが、間違いなく何らかの技術的ブレークスルーがあったはずだ。

ちなみに構造上、やはりショートストロークになるスバルの水平対向エンジンも、悩みは一緒である。実際、両社はこうした共通課題について、オープンに議論を行っているという。今回、3社が揃ってこうした発表を行ったのは、普段からの良好な関係性に拠るものなのである。

マツダが披露したのはロータリーエンジンを組み合わせた2種類のハイブリッドシステムだ。そのうちひとつはすでに1ローターエンジンを発電専用に使ったもので、「MX-30 Rotary-EV」のものよりコンパクト化を図っているという。そしてもうひとつは縦置き2ローターシステム。モビリティショー2023でお披露目したスポーツカー「ICONIC SP」が想定していたのは、このシステムと見ることができそうだ。

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