経済制裁が利かない?懐深いロシア経済のリアル 穏やかな日常生活、制裁でも世界とつながる経済
東洋経済オンライン / 2024年6月8日 8時0分
多くの人は、「これだけのことをしたのだから、さぞかし貿易が減るだろう」と思うはずだ。ところが、ここでも予想は覆された。
世界経済とつながったまま
2022年の貿易総額は8478億ドルで過去最高を記録した。輸出額、貿易黒字額も過去最高で、制裁下で外貨獲得が進むといった逆説的な状況が出現した。
これは、国際エネルギー市場の混乱から原油価格が上昇したことが大きな要因である。それに比べると2023年は貿易額が減少したが、2010年代以降の平均的な水準に戻ったにすぎない。
要は、ロシアは今でも世界経済とつながったままなのである。よく言われるように、中国やトルコ、インドなど、制裁に加わっていない国々との貿易額が増えた。
中国は、もともとロシアにとって最大の貿易相手国であったが、2022年の両国間の貿易額が対前年比3割増の1885億ドルに達した結果、ロシア貿易全体の23%を占めるに至った。
同様に、トルコとの貿易額は倍増してロシアにとって第2位の貿易相手国に、インドは3倍以上に増えて第5位の貿易額となった。2022年は原油価格が高かったこともあり、制裁に参加しているベルギー、イタリア、フランスなどですら対ロシア貿易額が増加した。
そもそも対ロシア制裁は、すべての品目の輸出入を禁じているわけではない。2017年に導入された北朝鮮に対する国連決議に基づく制裁と比べれば、参加国や対象品目などの面で、今の対ロシア制裁は相当に緩い制裁である。
アメリカですら当面はロシア産ウランの輸入を継続せざるをえないなど、ロシア経済はさまざまな面で世界経済と深く結びついている。制裁強化の動きは続いているものの、その延長線上でロシア経済を孤立させようとしても、その道のりは見通せないほど長い。
軍事支出は確かに増えているが…
さて、内需の動向に目を転じてみよう。前述の通り、ロシア経済の成長率は、2022年はマイナスで2023年がプラスとなった。
ただし、支出項目別のGDP(国内総生産)成長寄与度をみると、両年とも内需(家計消費、政府消費、総固定資本形成、在庫品増加の合計)はプラスであった。これら内需を支えるのは政府と家計の支出なので、それぞれの状況をみていこう。
ロシア政府は比較的健全な財政運営を続けてきた。コロナ禍への対応で支出が増加した2020年の連邦財政は対GDP比3.8%という、ロシアとしては比較的大きな赤字を計上したが、翌2021年には同0.4%の黒字に戻した。
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