「早い展開」44歳と38歳で結婚した夫婦のリアル 表面的な条件だけでは見えてこない「需要と供給」
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 12時30分
仕事や趣味に没頭している人は恋愛や結婚の優先順位が大いに下がっていたりする。ずっと一人でいたいわけではないけれど、今のところ健康で寂しくもなく、周囲にも独身の友だちが多い、といったケースだ。
気づいたときには年齢を重ねているが、気持ちは若いままで相手との「需要と供給」が合わず、婚活が難航する人も少なくない。
今回は、その中では比較的幸運な夫婦に登場してもらう。東京郊外の賃貸マンションで暮らしている吉田友広さん(仮名、44歳)と恵美さん(仮名、38歳)だ。
出産予定日間近にインタビュー
どちらも結婚相談所に入会してから半年以内に出会って交際を始め、その半年後には成婚退会。両家の顔合わせをして婚約をしたあたりで恵美さんは妊娠し、3カ月後に婚姻届を提出して2023年末に結婚式を挙げた。北関東に住んでいる友広さんの両親は、恋人のいる様子もなかった長男が初孫を抱かせてくれるまでの展開の早さに驚いているという。物事は進むときにはどんどん進むものなのだ。
インタビューは里帰り出産予定の恵美さんの実家の最寄り駅近くで行うことにした。海外旅行とお酒を飲むことが趣味だという恵美さん。出産予定日を2週間後に控えているのでお酒を飲めないが、飲みながら話したい友広さんと筆者のために温かみがあるイタリアンレストランを選んでくれた。メニューを一読して、ワインに合いそうな料理を迷わずに注文する恵美さん。外食に慣れていることがわかる。
つねににこやかな友広さんもバイクやスキーを愛する趣味人で、大学卒業後は東京都内で20年以上一人暮らしをしていた。現在はIT企業で管理職として働いているが、30代半ばからは同じ会社で中東での大規模プロジェクトに参加していたと振り返る。
「海外で働いてみたかったので手を挙げました。3カ月ほど長期出張して帰国することの繰り返しです。危険手当ももらえます。私としては気に入っていた働き方で、5年間ほど過ごしました」
ツルンとした表情で語る友広さんだが、その頃にバイクつながりで付き合っていた同い年の彼女もいた。彼女は結婚を意識していたようだが、友広さんは「まだ独身でいいかな」と思いながらの出張ベースの日々。そのうちに彼女から連絡が来なくなった。
「バイク仲間の延長ぐらいに思っていたのがよくなかったのでしょう。(自然消滅という形でフラれたことに)腹落ちする感覚がありました」
腹落ちするのは仕事だけにしましょう、と突っ込みを入れたくなるのは筆者だけではないだろう。しかし、友広さんは反省して婚活をするどころかますます仕事や趣味に没頭。そのうちにコロナ禍が始まる。
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