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東北海岸線「歩く旅」外国人に人気のワケを深掘り 全線1025km開通5周年「みちのく潮風トレイル」

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 9時0分

全線開通から5年、大自然と三陸の旬の味覚を楽しむみちのく潮風トレイル。ルート沿線では週末や大型連休に大きなリュックを背負ったハイカーの姿を見かける機会が増え、住民の間でもMCTとハイカーの存在がようやく知られるようになってきた。宿泊業関係者にとっても見過ごせないビジネスチャンスとして期待が高まってきている(写真:筆者撮影)

森林や原野、里山などに引かれた「歩くための道」、トレイル。青森県から福島県まで東北地方4県の太平洋岸を縦断する「みちのく潮風トレイル」(以下、MCT)は2024年6月9日に全線開通から5周年を迎えた。

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2024年2月には、イギリスの「タイムズ」紙の「日本の訪れるべき場所 14選」で、長野県松本市、知床国立公園、東京都に続く4番目に選ばれたばかり。「見事な景色だけでなく、災害から10年以上経った今も復興を続けるコミュニティにもアクセスできる」などと紹介され、たくさんの外国人ハイカーがMCT目当てに来日している。

円安の影響で国内旅行に目をむける人が増えている今、MCTを歩く楽しさをお伝えしたい。

青森から福島1025kmのロングトレイル

MCTは観光名所としても有名な青森県八戸市の蕪島(かぶしま)を北の出発点に、岩手県、宮城県を通り、福島県相馬市までの1025kmをつなぐ道のこと。

2013年に北端の八戸市と岩手県久慈市の間の約100kmが開通したのを皮切りに順次、区間が延伸し、2019年6月に全線が開通。1025kmが1本の道でつながった。

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太平洋沿岸地域の幹線である国道45号の歩道を行く区間があったかと思えば、漁村あり、砂浜あり、江戸時代に使われていた峠道あり……。景色も、断崖絶壁の眼下に広がる大海原、たくさんの小型船が停泊する漁港、広葉樹の森、白砂青松など実に多種多様だ。

実はMCTは、2011年の東日本大震災後、「グリーン復興」を掲げた環境省が整備を進めてきたトレイルルートだ。

被災地の豊かな自然資源、その恵みをなりわいとする暮らし。その一方、自然の脅威に対抗すべく培われた知恵があり、地域固有の風土を体感できるのがMCTの魅力と言える。

人口2千人の村に押し寄せる外国人ハイカー

MCTの運営を担うNPO法人「みちのくトレイルクラブ」によると、2023年にMCTを歩いた人はのべ12万人。コロナ禍をはさみ、2022年からは回復傾向にある。

1025kmを歩いたハイカーは全線踏破者として登録される仕組みもあり、2024年5月末現在で146人が登録されている。

中でも一般的に「滞在の約1年前から(歩く)準備をする」という外国人の動向が好調で、ルートマップは2021年は年間20部だった注文が、2024年に入ってからは月間20部に増加。

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