沈む日本、いま必要なのは「団塊ジュニアの反抗」だ 「物価高で定額減税」の矛盾を無視していいのか
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 8時30分
財政社会学者の井手英策さんは、ラ・サール高校→東京大学→東大大学院→慶應義塾大学教授と、絵に描いたようなエリート街道を進んできました。が、その歩みは決して順風満帆だったわけではありません。
貧しい母子家庭に生まれ、母と叔母に育てられた井手さん。勉強机は母が経営するスナックのカウンターでした。井手さんを大学、大学院に行かせるために母と叔母は大きな借金を抱え、その返済をめぐって井手さんは反社会的勢力に連れ去られたこともあります。それらの経験が、井手さんが提唱し、政治の世界で話題になっている「ベーシックサービス」の原点となっています。
勤勉に働き、倹約、貯蓄を行うことで将来の不安に備えるという「自己責任」論がはびこる日本。ただ、「自己責任で生きていくための前提条件である経済成長、所得の増大が困難になり、自己責任の美徳が社会に深刻な分断を生み出し、生きづらい社会を生み出している」と井手さんは指摘します。
「引き裂かれた社会」を変えていくために大事な視点を、井手さんが日常での気づき、実体験をまじえながらつづる連載「Lens―何かにモヤモヤしている人たちへ―」(毎週日曜日配信)。第10回は「団塊ジュニアに生まれて」です。
上京と同時に、バブルはあっけなくはじけた
私たちはつくづく<時代>に愛されなかった世代なのかもしれない。
私は1972年に生まれた。いわゆる団塊ジュニア世代だ。翌1973年にオイルショックが起き、安定成長時代が始まったから、高度経済成長期、最後の世代ということになる。
とはいえ、飛ぶ鳥を落とす勢いだった高度成長の記憶などまったくない。ジュリアナ東京のお立ち台や土地転がしなど、バブル期の話題なら記憶になくはないが、大学に合格して東京に出てくるのと同時に、バブルはあっけなくはじけてしまった。
私たちが就職活動を行った1994年は、有効求人倍率が1980年代前半水準にまで落ちこむ最悪な年だった。まさか、自分たちが、就職氷河期世代、ロストジェネレーションなどと呼ばれるようになろうとは、思いもしなかった。
私が博士課程に進んだのは1997年だ。この年にアジア通貨危機が起き、デフォルトがささやかれる国があらわれた。国際経済は大混乱、翌1998年には1974年以来となるマイナス成長を日本経済は記録した。
団塊ジュニアという名前からわかるように、私たちは団塊の世代に次ぐ「ボリュームゾーン」として生きてきた。
この記事に関連するニュース
-
「積極財政派」「財政再建派」提言に見る希望と絶望 「PB黒字化目標」に代わる新たな財政政策の指標
東洋経済オンライン / 2024年6月18日 10時0分
-
「政治家が日本30年の国益を溶かした」国民がやせ細る中、"パーティー裏金"に明け暮れの永田町のイカれた神経
プレジデントオンライン / 2024年6月13日 10時15分
-
岸田首相「骨太の方針」で成長掲げるが…緊縮財政で〝骨抜き〟に PB黒字化明記で負担増必須 党内から「幸福度見捨てるな」
zakzak by夕刊フジ / 2024年6月13日 6時30分
-
焦点:政権浮揚かけた減税、立ちはだかる生活防衛意識 消費効果読めず
ロイター / 2024年6月6日 13時41分
-
[社説]定額減税スタート 物価高対策には不十分
沖縄タイムス+プラス / 2024年6月2日 4時0分
ランキング
-
1電車で「足を広げて座る男性」にイライラしていると…“ガタイの良い高校生”に心のなかで拍手したワケ
日刊SPA! / 2024年6月21日 15時52分
-
2霜降り明星・粗品の毒舌に覚える「嫌悪感の正体」 アンチコメントが殺到している「3つの理由」
東洋経済オンライン / 2024年6月20日 15時30分
-
3「電マ」を“車両”にしてレース 前代未聞のNHK番組の裏側 伊集院光さん「ネットがザワついてますけど?」 番組Dの回答に絶句!?
乗りものニュース / 2024年6月20日 19時12分
-
4なぜ日本で売らないんだっ!? いすゞの新「世界戦略SUV」大幅イメチェンに驚きの声 国内カムバック熱望!?
乗りものニュース / 2024年6月21日 17時12分
-
5妻「もう赤の他人なので」と吐き捨て、子を連れ実家へ…1人残された月収40万円・43歳の〈モラハラ夫〉が直面する「住宅ローン破綻」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月22日 7時15分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)