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「低年収の若者」無視した少子化対策が意味ない訳 高年収帯しか子育て世帯が増えていない現実

東洋経済オンライン / 2024年6月9日 12時10分

とはいえ、「年収が高くなくても結婚している若者はいるじゃないか」というご指摘もあります。確かにそれは否定しません。では、低年収の未婚男性のうち、結婚意欲が高く、子どもがほしいと思う人の特徴とはなんでしょうか?

年収が300万円に満たない男性だけを抽出して、彼らの置かれた環境別に「結婚したい意欲」と「子どもがほしいという希望」がどれくらいあるのかを調べてみましょう。もしかしたら、そこに「結婚できるかできないかは金だけの問題ではない」という解答があるかもしれません。

見ていくのは、現在の恋愛状況(恋人がいる・過去に恋愛経験あり・一度も恋愛したことがない)、育った家庭の人口規模(大都市、小都市)、育った家庭の兄弟関係(一人・二人・三人以上)、親の所得の多寡、両親の関係性についてです。

当然、現在付き合っている相手がいる場合は、いない場合や一度も恋愛したことがない場合よりも高いのですが、決して大きく影響を与えているほどではありません。兄弟の数も、三人以上の兄弟で多少「子どもがほしい」割合が高まりますか、それでも35%程度に過ぎません。

「恵まれた家庭」環境に限られる

20代現在低年収の経済弱者の未婚男性が結婚と子どもを持つことに関してもっとも大きな影響を及ぼしているのは、「両親が裕福」であることであり、次に「大都市在住」、「両親が仲良し」であることでした。

ここからわかるのは、20代時点で自分自身としては大きく収入を稼げていなくても、結婚に前向きで子どもをほしいと希望できるのは、大都市に住み、両親が裕福で仲良しであるという「恵まれた家庭」環境がある場合に限られるということです。

もちろん、両親が裕福でなくとも、自身が頑張って稼いだ若者の結婚意欲や子ども希望率は高いのですが、それは自分自身が稼いで「お金の問題」をクリアしたからです。

要するに、自分の力であろうとなかろうと、「お金の心配をしなくていい」状況にならないと、結婚というものに向き合える余裕が出てこないということで、結局「お金の問題」ということになるわけです。

若者が恋愛離れや結婚離れ、または子ども離れをしているわけではありません。そうした意欲や希望を得られないのは、「若者からお金が離れている(より正確に言えば、若者からお金が引き離されている)」という状況であって、彼らの心の中から「今後も経済的に苦しいだろう」という将来的不安が払拭できないからです。

「結婚・出産できる層」と「できない層」の二極化

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