自分を追い詰めていた「思考のクセ」に気付く方法 心のメガネは何才からでもかけ替えられる
東洋経済オンライン / 2024年6月11日 18時30分
このように、親や先生、もしくは社会からメガネを受動的にかけてもらっていることからスタートしています。そのため、自分で主体的にメガネをかけかえられるということを知らないまま過ごしている人も多いのです。
すごく大切なことをお伝えします。メガネは、自分でかけかえることができます。何歳からでもかけかえることができるし、磨き続けることもできるのです。
メガネをかけかえるスキルは、振り返りを習慣化して、観察力・分析力を高めていくことで、できるようになっていきます。
会社員のMさんがノートによる振り返りを続けることで起きた変化をご紹介します。Mさんは、当時転職した会社で、上司からパワハラを受けて苦しむ日々を送っていました。「なんで、こんなこともできないの?」という否定の言葉を浴び続け、毎日残業し、睡眠時間も削られ、上司に何を言われるのか怯えながら日々を送っていたのです。
上司がどう思うかを優先させる毎日だったので、自分も意見を持っていいということすら、忘れてしまったそうです。次第に、自分の心の声も聞こえなくなっていきました。そんな時期に、振り返り習慣をはじめました。
Mさんがあるときノートを見返したら、こんなことが書かれていました。
・友達から、「表現したい欲があるのでは?」というアドバイスをもらった。素直に表現していいのかも。
・自分は表現家であると認識。誰かのために表現すること。これが私。
ノートを振り返ることで自分の感覚を取り戻した
Mさんは、もともと自分の意見を考えたり、表現をすることが好きなタイプでした。ところが上司の顔色を気にしながら日々を過ごしていたら、いつの間にか自分の考えや意見を表現することができなくなっていたのです。
「私は表現をしたい! そして表現をしてもいいんだ!」という気づきは、Mさんにとって、行動を起こす第一歩になりました。
次第に、Mさんは「自分も大切にされるべき存在であるし、自分自身で選択してもいい」という感覚を取り戻していきました。
この頃のノートには、こんなことが書かれていました。
・ジェーン・スー、いいこと言う。自分の好きな自分でいられるか、自分らしくいられるかは、自分でコントロールできる。
・「自分が自分のボスである」というAさんの言葉を大事にしたい。
ノートを振り返ることで、徐々に内なる声が聞こえるようになって、Mさんはとうとう自分のメガネが変わる体験をしました。
それまでMさんは、パワハラで苦しむのは、その上司のせいだと思っていました。もちろん、それ自体は間違っていません。でも、Mさんはさらに考えて、自分がその上司の下に居続けるのは、自分が次のように思っているからだと気がつきました。
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