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岡山のバス会社、「日本最安」運賃100円でなぜ黒字 「安かろう悪かろう」ではない快適性高める工夫

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 6時30分

さらに宇野バスは、自治体からの補助金を一切受けていないことも大きな特徴だ。これについて宇野社長は、いくらバス事業が公共性のある事業だからといっても「自由競争、公平原則の自由経済の理念から、企業は自立して経営されねばならないという信念があるから」だと話す。

仮に、補助金を受け取ってしまうと、経営に対して自治体からの制約が生じ、経営判断の足かせになることや、企業努力を怠るようになるなどといった副作用が出てしまうことが心配されるという。

こうしたことから、岡山市が主体となって2022年度と2023年度に行った路線バス無料デーについても、2023年度においては宇野バスにおける売上相当分の補助金を市から受け取らなかった。2022年度に関しては、岡山市から路線バス無料デーの売上相応分の補助金を受け取っているが、この補助金分については2023年の7月と12月の計2回、宇野バスが独自に路線バス無料デーを実施することによって社会に還元し、事実上、補助金を受け取っていない形とした。

宇野バスは、車両の低床化についても独特の取り組みを行っている。近年では、バリアフリーの観点からバス車両の低床化が求められる時代となり、一般的なバス会社では新たにノンステップバスを導入することで、バス車両の低床化を実現することが通常だ。

しかし、宇野バスでは既存の高床バスのタイヤを小さいものに履き替えることでバスの車高を下げ、低床化を実現してしまった。タイヤの小型化により車高を7~8cm下げることに成功したという。タイヤの小型化による低床化を実現するにあたっては、タイヤだけではなくギア比を変える作業も必要になったというが、それでも当時宇野バスが所有していた72台のバスの低床化を約2000万円の費用で実現できた。

宇野バスのバス新車は1台当たり約2000万円であるというが、72台のバスの低床化にかかった費用は新車のバス1台分の費用。新車のノンステップバス1台はこれよりも高いことから、新車のノンステップバス1台分よりもはるかに安い費用で72台のバスの低床化を実現できたことになる。

なお、タイヤの小型化によりタイヤの消耗具合が4~5%程度悪くなり、タイヤの交換頻度が上がるというデメリットも生じたそうだが、それでもノンステップバスの購入による低床化と比較するとコストパフォーマンスはかなり良い。

運賃最低でもサービス最高を目指す

こうして知恵の限りを尽くしてコストカットを追求する宇野バスであるが、そのサービス内容は決して「安かろう悪かろう」ではない。宇野バスの車内は乗客が快適に過ごせるようにさまざまな工夫が凝らされている。

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