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岡山のバス会社、「日本最安」運賃100円でなぜ黒字 「安かろう悪かろう」ではない快適性高める工夫

東洋経済オンライン / 2024年6月11日 6時30分

宇野バスは、岡山市中心部から岡山市郊外へ路線を延ばす。例えば、岡山駅から同市中心部の表町バスセンターを経由して、県東部の片上に向かう路線では、乗車時間が1時間以上に及ぶ。さらに、県北部のJR姫新線林野駅までを結ぶ路線は乗車時間が2時間に及ぶ。

こうしたことから、宇野バスの全車両では、車いす用の座席を除き、背もたれが高いハイバックシートを採用しており、長時間の乗車でも快適に過ごせるようになっている。座席モケットについては、メーカーも色も高級なブランドイメージのある阪急電鉄と同じ住江織物製の深緑色だ。

これだけではない。宇野バスの全車両には、無料Wi-Fiも完備されている。これは、2014年に宇野社長が、日本航空で機内インターネットサービスを開始したというニュースを見たことで、「自社のバスにも導入できないか」と考えたことがきっかけとなった。

当時、無料Wi-Fiの整備については、まだ黎明期ではあったが、多くの人がスマホを持ち、インターネットに接続して情報を得る社会になるというライフスタイルの変化に柔軟に対応した車内環境を整備するため、2015年から岡山県の路線バスとして初めて全車両で無料Wi-Fiが使えるようになった。

また、宇野バスは、新車の導入にも積極的で、基本的にバスは約10年間という通常の半分ほどの期間で新車への更新を行っていることから「宇野バスはいつもきれいで、乗り心地も良い」という定評があるという。

そんな宇野バスのある岡山県内は、全国屈指のバス激戦区だ。岡山市内だけでも、路線バスを運行するバス会社は宇野バスを含めて9社。さらに、このうち8社は岡山駅東口のバスターミナルに乗り入れ、しのぎを削る。

岡山県がこうしたバス激戦区になった背景には、第2次世界大戦中にバス会社の戦時統合が行われなかったことにある。国内の多くの地域では、戦時中にバス会社の統合が行われ、整理されていったが、岡山県ではバス会社の統合が行われる前に終戦となり、戦前からのバス会社がそのまま残ってしまった。その結果、岡山県は全国でもまれにみるバス激戦地帯となってしまった。

こうした背景から、宇野社長は「可及的速やかに岡山県内のバス会社の統廃合を行うべきだ」と主張している。コロナ禍で深刻な経営問題を抱えたバス会社が増えたこと、さらにバスドライバー不足が深刻化していることがその理由だ。

「岡山県内のバス会社は速やかに統廃合を行うべき」

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