北朝鮮の金正恩氏にはやはり息子がいないのか 韓国・文在寅前大統領の回顧録からみる家族構成
東洋経済オンライン / 2024年6月11日 13時0分
韓国の文在寅・前大統領が、在任当時の外交安保政策についての「回顧録」を発表して話題になっている。一番注目されたのは、2018年4月27日に板門店における最初の南北首脳会談での金正恩・朝鮮労働党委員長(当時)の非核化についての発言だった。
「娘の世代まで核を頭に乗せて生活させられない」
文在寅「回顧録」の2つの注目点
文在寅・前大統領の「回顧録」では、金正恩氏は板門店で「娘の世代まで核を頭に乗せて生活させられない。アメリカにうまく伝えてほしい」という非核化への思いを語り、文在寅・前大統領がこうした非核化に向けた前向きな発言を聞き、金正恩氏への信頼を寄せていったとされている。
実は、金正恩氏のこうした発言は韓国に対してだけではなかった。
金正恩氏と文在寅前大統領の4月27日の初の首脳会談に先立って、アメリカのポンペオ国務長官が2018年3月末から4月初めにかけて訪朝した。この時、ポンペオ国務長官は金正恩党委員長に「非核化する意向はあるのか」と尋ねた。
これに対し、金正恩党委員長は「ご存じのように、私は父親であり、夫だ。私には子どもたちがいる。私の子どもたちが生涯、核を抱えて生きていくのを望まない」と答えたと紹介した。
このエピソードを明らかにしたのはアメリカのアンドリュー・キム前中央情報局(CIA)コリア・ミッションセンター長だ。
ポンペオ国務長官とともに訪朝し、この様子を見守っていたアンドリュー・キム・センター長は、ハノイでの首脳会談を目前にした2019年2月22日に、アメリカ・スタンフォード大学アジア太平洋研究所で講演し、金正恩党委員長のこの発言を紹介した。
金正恩党総書記を「魅力的だ」と語り、「よい交渉相手だ」と評価した。キム・センター長は「北朝鮮住民全体が核の放棄に同意していたわけではない」とし「そのようなリスクを甘受してまで、肯定的な方向に進む人と一緒に働きたい」と語った。
金正恩党総書記は2018年春、同年6月のシンガポールでの史上初の米朝首脳会談を前に、韓国とアメリカに対して似たような言葉を発しながら、北朝鮮が非核化する意思があることをある程度、信じさせたわけだ。
アンドリュー・キム・センター長は、CIAで長年にわたり北朝鮮を担当してきたプロ中のプロだ。文在寅前大統領だけでなく、そういう人までもが金正恩党総書記の非核化への意思を信じたわけだ。
「ジュエ」が登場、「核が後の世代守る」と主張
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