北朝鮮の金正恩氏にはやはり息子がいないのか 韓国・文在寅前大統領の回顧録からみる家族構成
東洋経済オンライン / 2024年6月11日 13時0分
北朝鮮は寧辺の核施設を廃棄する代わりに、2017年に決議された国連の経済制裁の解除を要求した。アメリカは大量破壊兵器の全面的な廃棄が実現すれば制裁解除ができるとリビア方式のビッグディールを要求した。
米朝双方が予備交渉を十分にせず、両権力者が自身の交渉能力を過信していた結果、会談は「ノーディール」に終わった。もし、ハノイ会談で部分的な合意でもできており、米朝交渉が続いていれば、北朝鮮の非核化への姿勢がここまで正反対にはならなかっただろう。
北朝鮮はハノイの「ノーディール」以降、外交や核政策だけでなく、経済政策でも「自力更生」を掲げ、2019年12月の党中央委第7期第5回総会で「正面突破戦」を掲げた。これ以降、北朝鮮は社会主義路線への復帰を強めていった。
北朝鮮の核・ミサイル政策について、まずは北朝鮮自身の誤りを指摘しなければならないが、国際社会もまた、なぜ北朝鮮が、とりわけ、最高指導者の金正恩党総書記が「後の世代まで核を持たせたくない」という考えから、「核が後の世代を守る」へと正反対の考えになったのかは考えてみる必要があるように思う。
金正恩党総書記のアメリカや韓国に対する非核化への発言を「北朝鮮の常套的なうそ」「非核化などする気もないのに差し出した戦術的な工作」などと批判することはたやすい。
だが、そうした発想は、北朝鮮とのいかなる合意も無意味だという結論になるしかなく、外交は意味を失う。
北朝鮮をそうした見方でだけで対応した結果が、今日の北朝鮮の核・ミサイルの全面的高度化だ。
北朝鮮の核・ミサイル開発は、過去に何度か解決の機会があった。しかし、北朝鮮も国際社会も、合意を生かし、北朝鮮の核・ミサイル開発を抑制する方向に向かわせるのではなく、合意を反故にし、北朝鮮を核・ミサイル開発の方向に向かわせてしまった。
われわれは金正恩党総書記の非核化への発言を逆手に取って、非核化の方向に一歩でも向かわせなくてはならなかった。アメリカのボルトン元大統領補佐官が主張したような、リビア方式による全面的な非核化こそが荒唐無稽なものなのだ。
やはり、息子はいなかったのか?
もう1つ関心を抱いたのは金正恩党総書記に息子がいるのかどうかという問題だ。
文在寅前大統領は「回顧録」で、金正恩党委員長(当時)が板門店会談で「娘の世代まで核を頭に乗せて生活させられない」と語ったとしている。
4月27日の板門店での首脳会談では、南北首脳は午後4時42分から同5時12分までベンチに座り、2人きりで話し込んだ。
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