カリスマの条件…ファンはなぜスターに興奮? 「オペラ大図鑑」でたどるオペラの壮大な歴史
東洋経済オンライン / 2024年6月12日 18時0分
オペラを鑑賞したことはあるでしょうか?
魂に触れるオーケストラの音楽と歌手の肉声、人間の感情をあますところなく表現する物語、演出、工夫を凝らした舞台装置と衣装。
”総合芸術”であるオペラは、舞台芸術の愛好家だけでなく、すべての芸術ファン、そして大人の教養でもあるといえるでしょう。
大型書籍『オペラ大図鑑』は、オペラの誕生から現代作品にいたるまで400年以上の壮大な歴史を、美しい多くのカラー写真とともに、イタリア、ドイツ、フランス、ロシア、チェコなど国ごとに、年代順で、182作品をも詳説した贅沢なヴィジュアルブックです。
日本では、東京・初台の新国立劇場にオペラパレスがあり、そこでは大野和士芸術監督の下で最高水準の公演が制作されています。今年は「椿姫」「コジ・ファン・トゥッテ」「トスカ」などが上演。海外からの招聘公演も戻ってきました。
この素晴らしい“総合芸術”オペラについて、鑑賞前の手引きとしても、その魅力をより深く味わうためにも、本文の一部を抜粋して紹介します。
プリマ・ドンナ
17世紀から18世紀にかけて女性が舞台に登場することが許された地域では、プリマ・ドンナ(直訳は第一の女性)が愛された。ヴェネツィアでは、オペラハウスを満席にした最初の女性歌手アンナ・レンツィがこの名で呼ばれた。彼女の歌った役にはモンテヴェルディの1643年のオペラ《ポッペアの戴冠》のオッターヴィアなどがある。ヘンデルの時代になるころには、イタリアのファウスティーナ・ボルドーニとフランチェスカ・クッツォーニの名がヨーロッパ中に知られていたが、華やかな声の名人芸だけでなく、かっとなりやすい短気な性格でも有名だった。
18世紀末に活躍したカテリーナ・ガブリエッリもまたロシアからシチリアまで、ディーヴァの喜びを振りまくとともに、ディーヴァならではの騒ぎも引き起こした。カストラートのカッファレッリと同じように、ガブリエッリも上演中のとんでもない行動によって短期間ながら刑務所に送られたことがある。
ロマン派の時代はカストラートに別れを告げたが、新たな声のタイプとそれに伴うディーヴァの到来を歓迎した。ソプラノのアンジェリカ・カタラーニはその声と舞台での存在感によってヨーロッパを熱狂させたが、高額な出演料とその傲慢さは、エカテリーナ2世からナポレオンまで帝国の支配者たちを憤慨させた。ロッシーニが書いた数々の役は、伝説的なマリア・マリブランなどメゾソプラノのディーヴァを生み出した。1830年代になると、ソプラノのジュディッタ・パスタが、《ノルマ》などベッリーニのオペラの初演で歌い、ミラノ・スカラ座を震撼させた。
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