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大阪メトロ野田阪神駅「ライバル社名」を名乗る謎 千日前線の始発駅、降車ホームに広がる異空間

東洋経済オンライン / 2024年6月12日 6時30分

野田阪神駅の出入り口。すぐ横には阪神本線の野田駅がある(撮影:伊原薫)

Osaka Metro(大阪メトロ)の駅には、興味深い名前のものがいくつかある。有名なのは、谷町線の喜連瓜破駅や野江内代駅だろう。難読駅名としても知られるこれらは、ちょうど2つの町の境界上に駅があるため、両側の町の名前を組み合わせている。

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駅名になぜ「阪神」?

また、同社で一番長い駅名の四天王寺前夕陽ケ丘駅は、所在地をイメージしやすいという理由で開業当時は四天王寺前駅を名乗っていたが、1997年の長堀鶴見緑地線延伸開業と同時に、もともとカッコ書きで併記されていた地名を組み合わせ、現在の名前に改称された。大阪ビジネスパーク駅や動物園前駅、フェリーターミナル駅なども、地域のランドマーク名を採用した例である。

一方、今回取り上げる千日前線の野田阪神駅は少し異質だ。見ればわかる通り、名前にほかの鉄道会社名が入っている。その理由はもちろん、阪神の野田駅がすぐ近くにあるから。ではなぜ「野田駅」にしなかったかと言えば、少し離れた場所にJR(当時は国鉄)大阪環状線の野田駅もあってややこしいからである。

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「大阪環状線の野田駅は、千日前線の玉川駅が乗換駅となっています。野田阪神駅は、最近は阪神線よりもJR東西線に乗り換えるお客さまの方が多い印象を受けます」と、野田阪神駅の駅長を務める永井征夫さんは話す。

おそらく、阪神電車で神戸方面に向かう利用者は千日前線に乗ってここで乗り換えるのではなく、並行する阪神なんば線を使っているのだろう。

それにしても、名前にほかの鉄道会社名を入れるとはなかなか思い切ったことをしたものだが、実はこれ、路面電車時代からの名残なのである。大阪市電は大正時代に大きく路線網を広げたが、その際に国鉄野田駅近くの停留所を「野田駅前」、そして阪神野田駅近くの停留所を「野田阪神電車前」と名付けたのだ。

「阪急」や「京阪」もあった

ちなみに、阪神梅田駅の近くには「阪神電車前」、阪急梅田駅前には「阪急電車前」、そして京阪天満橋駅前には「天満橋京阪電車前」という停留場がかつて存在。公営の路面電車ならではの名付け方とも言えるが、その歴史が今なお受け継がれている。

そもそも千日前線は、終戦直後に阪神が近鉄と共同で野田―難波―鶴橋間の路線建設を計画した際、大阪市が「市内の鉄道は大阪市が運営すべき」という考えに基づき、対抗策として計画したものである。

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