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ハマスとの停戦めぐり揺れ動くイスラエル国民 人質の全員解放か、ハマスの壊滅か…割れる意見

東洋経済オンライン / 2024年6月12日 17時0分

2024年6月8日、イスラエルのテルアビブで人質解放と政府への抗議デモを行う市民。中央の肖像画は、生還したノア・アルガマニさん。「ノアが帰ってきた!」「全員が帰ってくるように!」と書かれている(写真・2024 Bloomberg Finance LP)

ハマスの奇襲テロによってイスラエルが戦争に突入してから8カ月経ったが、この数日で大きな動きが2つあった。人質4人が軍事作戦によって奪還されたこと、そしてベニー・ガンツが戦時内閣から離脱を表明したことである。

これまでにイスラエル国防軍(IDF)の地上作戦やハマスとの交渉によって135人の人質がイスラエルに戻ってきたが、今も120人はガザのどこかに監禁されたままである。

この数カ月間、IDFは地上作戦によって拉致された人の遺体を救出してきた。イスラエル側の安否不明者数が少しずつ減っている中での、生存者4人奪還のニュースだった。

6月8日に人質4人を奪還

この戦争において、イスラエル国民が最優先事項と考えるのは、人質の奪還であることは間違いない。人口1,000万人に満たない小国イスラエルの同胞意識は、われわれには想像もつかないほど強い。

2000年もの間、土地も国も持てず世界に離散しながら生き延びてきたユダヤ人の根底にある意識と言えるだろう。(「『囚われた人々』奪還へ突き動かすイスラエルの教え」参照)

戦争が始まった直後、ガザ近郊に住む娘と孫が人質として連れ去られたというMさんに話を伺ったことがある。約50日後、ハマスとの交渉で一家は全員生還した。Mさんに祝福のメッセージを送ったら、すぐに短い一文が返ってきた。「私たちは幸せですが、残りの人質が全員帰ってくるまで、私たちは戦い続けます」

テルアビブ美術館の広場は「人質広場」と呼ばれ、人質解放を訴える家族が日々活動している。その中には、家族が無事に帰ってきた人や親族ではない人も大勢いて、1日も早く全員が帰還できるよう人質家族を支え続けている。

6月8日に生還した4人は、ガザ地区のヌセイラット難民キャンプでハマスに拘束されていたノア・アルガマニさん(25)、アルモグ・メイールさん(21)、シュロミ・ジヴさん(40)、アンドレイ・コズロヴさん(27)。実に246日ぶりの解放であった。この4人はいずれもノバ音楽フェスティバルから2023年10月7日に拉致された。

ノアさんについては、バイクに乗せられ拉致される中で助けを求めて叫ぶ様子が世界で報じられ、ハマスの蛮行の象徴として記憶している人も多いだろう。母親のリオラさんは進行するがんと戦いながら、車椅子に乗って娘の解放を訴え続けていた。

この作戦は「アルノン作戦」(当初は「夏の種作戦」)と名づけられていた。IDFとシャバク(イスラエル総保安庁)、ヤマム(イスラエル国境警察の対テロ特殊部隊)などあらゆる治安機関が連携し、約1カ月かけて準備された。人質4人はトンネルではなく、ガザ市民の住宅に拘束されていた。

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