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2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 9時0分

2024年のインフレ率はIMFの予想で2.24%です。これに1.85%の実質引き上げ率を加えると、4%の引き上げ率となります。しかし、これでは不十分です。

日本の最低賃金は国際的に極端に低く、購買力調整をしても世界23位という低水準にあります。日本の最低賃金はハンガリーやルーマニアよりも低く、一流先進国とは思えない水準です。

さらに、日本の最低賃金は先進国の常識とされる「50%―60%ルール」よりかなり低いです。このルールは、最低賃金が労働者の年収の平均に対して50%、中央値に対して60%を超えるように設定するべきというものです。

EUではすでに法律化されていますが、日本はこの基準を大きく下回っています。したがって、全体の賃上げ率を継続的に上回る引き上げが重要です。

最低賃金はアルバイトやパートに適用されるものであり、正社員には関係ないというイメージがあるかもしれません。たしかに、昔はそのとおりでした。

しかし、いまや最低賃金の水準が正規雇用の給与に近づいているため、正規雇用への影響が増しています。最低賃金の引き上げの重要性はますます大きくなっているのです。

1994年までは、例えば男性大卒の初任給は最低賃金の2倍以上でしたが、2023年では1.46倍まで下がっています。高卒初任給も同じ期間で1.6倍から1.2倍を下回るほどに下がっています。

最低賃金の影響が増していることは、2024年のデータで確認できます。産労総合研究所の調査によると、2024年4月に入社した大卒の初任給は平均22万6341円となり、前年度比で4.01%増加しています。また、高卒の初任給は18万9723円で、こちらは前年度から4.71%増となりました。

やはり、高卒の引き上げのほうが大きいです。これは、最低賃金の引き上げにつられて上がったと解釈するのが妥当です。

最低賃金に「下限」を定める重要性

私は、企業の利益が最高水準を更新している中、潜在能力が高い日本人労働者を1時間当たり1000円以下で雇えるのは、明らかにおかしいと考えています。

しかし、最低賃金は、急に引き上げると短期的な摩擦が起きます。長期的に適切に引き上げることで、雇用への影響をなくせることが、統計的な分析によって確認されています。

具体的には、2024年の下限を950円に、2025年には下限を1000円にすることが妥当でしょう。

それによって、2025年には、まじめに働いているのに時給1000円以下で働く日本人をゼロにすることが可能となります。潜在能力が高く、まじめに働く日本人を1000円以下で雇うことは罪だと思います。

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