2025年、全都道府県で「最低賃金1000円」達成せよ 中小企業の「支払い能力」は過去最高を記録中
東洋経済オンライン / 2024年6月13日 9時0分
事実、東京など都市部の最低賃金と地方の最低賃金の差が開けば開くほど、若者が東京に移住するインセンティブが拡大し、一極集中が進むので、下限を設けることによって、一極集中の是正に貢献します。
そもそも、1989年から2006年の間、地方と東京の最低賃金の格差はずっと100円前後でした。それが一気に200円台に開いたのが2013年です。
第2次安倍政権となって、最低賃金に対する考え方が変わったと同時に、2019年2月に「自由民主党最低賃金一元化推進議員連盟」も発足しました。2015年以降、東京に対する最低賃金が最も低い県の最低賃金が、2015年の谷の76.4%から次第に引き上げられ、2023年では80.2%を回復しています。
中小企業の支払い能力は十分にある
最低賃金の引き上げを主張すると、「大企業と違って中小企業にはそんな金額を払う余裕がない」と批判されますが、事実ではありません。
1990年度以降、売り上げはそれほどに増えていないのに、日本企業の経常利益は大きく増えています。1990年度に比べて2022年度の経常利益は2.5倍になりました。現在の日本企業の利益水準は史上最高で、売り上げはそれほど増えていないので、利益率は異常に高騰しています。
「日本企業の利益の増加は大企業だけだろう」「大企業の利益の増加は海外の利益だけだろう」という反論もありますが、この主張は事実に反します。
1990年度から2022年度の間に、大企業の経常利益は48.9兆円増えて3.1倍になっていますが、そのうち営業利益が21.7兆円増えて1.8倍になっています。
つまり、営業利益と経常利益の差を主に海外部門の利益とすれば、海外の儲けの増加は全体の利益増加の48.9兆円中、27.2兆円で55.6%を占めますが、営業利益を国内部門と見れば利益は21.7兆円と1.7倍増えています。大企業の経常利益の増加は海外だけではありません。
さらに、大企業の利益だけが伸びているわけではありません。中小企業の経常利益も1.6倍になっています。大企業の営業利益の1.8倍とあまり変わりません。
中小企業の内部留保も、1990年度の51.2兆円から2022年度の188.5兆円まで増えており、もはやGDPに対して3割を超える水準に達しています。中小企業には最低賃金を引き上げても支払う余裕があります。
結果、大企業も中堅企業も小規模事業者も、どの規模の企業も利益は史上最高水準となっています。
「大量の倒産! 大量の失業者!」というデマ
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