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ニューオータニ「400年の歴史」持つ絶品の鴨料理 昭和天皇も口にした一品から辿るホテルの歴史

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 14時0分

フランスの名店であるトゥールダルジャンで初の海外支店を開業することになり、ボラー氏は1年間クロード氏のそばで学んだ。

本店と同じ味の再現に試行錯誤

天皇陛下も召し上がったグランメゾンであり、クロード氏と米一氏の想いにも応えなければならない、さまざまなプレッシャーもあった。

開業の際に大きな問題になったのが、メインの食材である“鴨”である。当時は冷凍の鴨を輸入して使用するケースが一般的だったが、これでは本店と同じ味を再現するのは難しい。そのため、いくらコストがかかったとしても、鴨は冷凍せずに、空輸で運ぶことにした。

鴨のナンバリングについても議論があった。本店では19世紀末から料理で使用した鴨に番号を付けるというアイデアが評判を呼んだ。先に述べたように1921年6月21日には、皇太子であった昭和天皇が本店の鴨を召し上がったこともある。そのときの番号は“53211”だった。

東京の支店で1番からナンバリングしてしまうと、いつか天皇陛下と同じ番号になってしまう。特別な番号であるため、東京では天皇陛下が召し上がった鴨の番号の「次の番号」から、ナンバリングを始めることになった。

こうしてボラー氏の大きな尽力もあり、ホテル20周年となる、1984年にトゥールダルジャン 東京をオープンさせた。

トゥールダルジャンなど、ホテルニューオータニは、昔から食にも力を入れているが、それはなぜだろうか。ニュー・オータニで役員を務める髙山剛和氏は次のように話す。

「ホテルニューオータニはもともと、宿泊だけではなく食も大切にするという、大谷米太郎の想いから始まりました。1470室ものゲストルームがあり、2週間滞在されるお客様もいらっしゃいますが、37もの料飲施設があるので、食事で飽きることはありません。開業当時より、東洋一のホテルにしたいという志をもっており、食にコミットし、つねにチャレンジしてきました」(髙山氏)

ピエール・エルメ・パリの1号店も

館内に37もの料飲施設があり、17施設が直営だ。トレーダーヴィックス 東京やトゥールダルジャン 東京の開業の後には、スイーツブームの到来を見越して、1998年には「ピエール・エルメ・パリ」が世界1号店としてオープンした。

また同時期にオープンした「パティスリー SATSUKI」では「スーパーショートケーキ」をはじめとした1000円を超える超高級ケーキのスーパーシリーズも人気を呼んだ。

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