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「サイゼが香川で苦戦中」噂は本当か検証した結果 ミラノ風ドリアをもってしても…高き「うどんの壁」

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 12時0分

では、ディナーは?というと、これはこれで難しい。

サイゼのディナー需要を支える一つが、「サイゼ飲み」、つまりアルコール需要だろう。グラスワインは100円って、駄菓子かと思う安さだ。酒飲みならほぼ全員、人生に1回は、サイゼの安さに驚いているはずだ。

しかし、現在香川4店舗にあるサイゼリヤを見ると、3店舗はいわゆるロードサイド型店舗で、イオンモールの中に入っている。お客さんの大半は車で来ているから、酒を飲む、ということができない。

実際、私が店を訪れたときも、ワインを飲んでいる人たちはいたものの、カップルや夫婦の片方だけが飲んでいる光景が多く、都心で見られるように、みんなでサイゼ飲みをする光景は見られなかった。

また、唯一といってもよい都心型立地店舗である「丸亀町グリーン店」では、香川県の他の店舗に比べて、アルコールを飲んでいる人々が多く、やはり車社会におけるアルコール需要の問題は大きいのかもしれない、とも感じた。

これはロードサイド店全店にいえる問題だが、特に香川の場合は、ランチ需要における「うどんの壁」問題があるため、ディナーにおける売り上げの成否は大きなものになる。

それが、結果的に、香川におけるサイゼの存在感を弱めているのかもしれない。

圧倒的な香川の「うどん」ブランド

そして、圧倒的なのは、香川県人にとっての「うどん」というものが持つ、ブランド力、というか地域への根付き方だ。

私がよく行くうどん屋に「なかむらうどん」といううどん屋がある。

溶き卵の中に釜からあげたうどんを投入し、だし醤油をかける「釜玉うどん」が名物の一つで、私の中では、生涯食べた食べ物の中でも、ほぼ1位に鎮座しているぐらいにおいしい。

アツアツのうどんが溶き卵に投入され、ちょっとだけかたまる。

ここのうどんの食感は、「グミのよう」とも形容されて、硬さと柔らかさが不思議に同居している。それも相まって、全体の食感はふんわりしていて、まるでケーキのよう。

ちょっとだけかたまった卵はほんのり甘く、その中にだし醤油のしょっぱさが加わる。極上の甘じょっぱさが、口を支配するのであります。

村上春樹がエッセイでも訪れたうどん屋で、村上は、「なかむら」が地元に根付く、超絶ローカルな場所であることに驚いている。ちなみに、かつての「なかむら」は、ネギはお客さんが直接畑から切っていたらしい。村上が驚くぐらい、さぬきうどんは、それぞれの店がそれぞれ、地域に馴染んできた。

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