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エーザイ、「37年目トップ」に迫る2つの"後継問題" 認知症薬の成長急ぐ中で発表された注目人事

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 7時20分

今年でトップ就任37年目を迎えた内藤晴夫CEO。次の成長ステージに向けて正念場を迎えている(撮影:今井康一)

昨年、世界で約20年ぶりとなる認知症の新薬を生み出したエーザイ。その発売からわずか1年余りで、強力なライバルが出現しようとしている。

【写真で見る】6月14日付で代表執行役専務に昇格する内藤景介氏。創業者の孫である内藤晴夫CEOの息子だ

6月10日、アメリカの食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が、ある薬の承認を推奨する方針を全会一致で決定した。アメリカの製薬大手、イーライ・リリーが開発するアルツハイマー型認知症薬「ドナネマブ」だ。

諮問委員会の決定に拘束力はないが、FDAはこの委員会の見解に沿って薬の承認可否を判断するケースが多い。

今回の結果を受けてFDAが承認すれば、リリーのドナネマブは年内にも、アメリカ、そして日本でも発売される可能性がある。エーザイが2023年に発売したアルツハイマー型認知症の新薬「レケンビ」に、早くもライバルが登場することになる。

エーザイの認知症薬との違い

イギリスの市場調査会社であるグローバルデータ社は、エーザイとリリーの薬の将来的な売り上げについて、2029年にどちらも50億ドル前後に拡大すると予測している。患者や医師がどちらを選ぶかは、細かな特徴の違いと、今後の両社の販売戦略に左右されそうだ。

2つの薬はいずれも、脳内の「アミロイドベータ」というタンパク質を取り除くことで認知症の進行を抑えるものだ。基本的な仕組みは似ているが、患者側の負担や、投与対象者などの面では違いがある。

例えば、これまでの臨床試験結果によれば、リリーのドナネマブは脳出血などの副作用リスクがやや高いとみられている。また、脳内に「タウ」というタンパク質が一定程度ある患者に対象が絞られる。

ドナネマブの臨床試験では、4週間に1回投与を続け、ある程度の効果が認められた時点で投与を終了した。一方、エーザイのレケンビは2週間に1回の投与が必要なうえ、投与をやめられるタイミングはまだわかっていない。

エーザイにとってレケンビは、会社の次の成長を占う重要な存在だ。

エーザイで現在もっとも稼いでいる薬は、抗がん剤の「レンビマ」だ。2023年度のエーザイの売上高7418億円のうち、およそ4割がレンビマによるものだった。

このレンビマは、2026年度に物質特許が満了を迎える。物質特許は医薬品の特許の中でももっとも効力が高く、その後は後発薬が参入してくる可能性がある。認知症薬のレケンビは、大黒柱であるレンビマの特許切れ後を支える“後継薬”として期待されているのだ。

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