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「アップルのAI戦略」が競合とあまりに違う事情 ChatGPTと"連携"したアップルらしい理由

東洋経済オンライン / 2024年6月13日 7時0分

(編集部撮影)

iPhone、iPad、Macなどのアップル製品に知性を与え、使う人の状況やニーズをより深く理解してアシストしてくれる新技術「Apple Intelligence」が発表された。アメリカではこの秋から最新基本ソフト(OS)に搭載され、日本などでは来年以降に搭載される。

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アップルらしい設計思想

日本ではChatGPTとの連携ばかりが大きく報じられているが、実はこの連携は枝葉に過ぎない。「Apple Intelligence」で最も重要なポイントは、アップルが、AI統合型のOSとは本来どうあるべきかを一から考えデザインしたことだ。

AI統合型OSは、アップルより先にすでに数社から発表されている。よくIT業界はスピードが重要だと言われる。しかし、そんな中でアップルはつねに真逆のアプローチを取ってきた。急がば回れの真摯かつ丁寧なものづくりだ。

その結果、優れた使い勝手と信頼性が評価され、スマートフォン、タブレット、音楽関連サービス、最近では空間コンピューティングといった分野でも先行していた他社よりも大きな注目を集め、圧倒的な地位を築いてきた。

そして必ずしも早期の参入が正しいわけではないことを繰り返し証明し続けてきた。スピード開発では、どうしても設計が荒くなり、使い勝手の悪さや、後々大きな問題に発展しかねない障壁を抱えたままでの製品化になることが多い。

例えばスマートフォン。iPhoneよりもはるかに前に出ていた他社製の中には、本来パソコン用に作られていたOSを単純に片手に収まる携帯電話の画面で動くようにしただけの単純発想で作られたものなどが出ていた。小さな画面に表示される小さなウィンドウやメニューに、神経を集中させてペン先を合わせ操作するというものだ。

対してアップルは、指先で操作するスマホはどうあるべきかを根本から考え直してiPhoneを生み出し、まるでiPhone以前にはスマホが存在していなかったかのような印象すら与えるほどの大成功を収めている。

今、アップルはこれと同様のことを、今後重要になるAI技術のOS統合でやろうとしている。多くのOSが、単純にAIとの対話用ウィンドウをくっつけただけというアプローチで統合を行っている。これはユーザーが、AIにどんなことを頼めばいいかを、すでに知っていることが前提のOS設計だ。

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