ネズミ増加に悩む繁華街で「協働」生んだ舞台裏 東京都千代田区 行政と住民・企業が連携
東洋経済オンライン / 2024年6月15日 10時0分
複数回開催し、シー・アイ・シー社によるネズミ駆除に向けた専門的知識の提供や、ネズミ対策への方策を確認した。
ネズミ被害を減らすには、ネズミの生息しにくい環境づくりが有効とされる。そこで平野氏は鍛冶町二丁目の町内の一斉清掃を行った。
第1回は2023年7月に開催。飲食店、清掃事務所、保健所、出張所、建設会社等が参加する取り組みとなった。また千代田区を挙げてネズミ対策を推進しているため、樋口高顕区長も参加して一緒にごみ拾いを行った。
街が綺麗になるのが目に見えてわかり、参加者は45分もごみ拾いに没頭した。結果、軽ダンプ5台分のごみが集まり、ネズミ駆除に向けた環境整備が進められていった。
一斉清掃はその後も約2カ月に1度のペースで行われており、2024年5月で5回目となった。筆者も2月の一斉清掃に参加し、取り組みの盛り上がりを実感した。
このときも樋口区長をはじめ町会、防犯パトロール隊、清掃事務所、保健所、出張所、飲食店に加え、郵便局、不動産会社、JR神田駅スタッフ等も含め約100人が参加して、町内のごみを一掃した。
ごみ排出の「統一ルール」策定
ネズミ繁殖の阻止には、ネズミのエサとなる生ごみ対策が有効となる。そこで、町会と町内の4つの商店会は、保健所と収集事業者の協力のもと事業系ごみの排出と収集のルールを策定し、排出者と収集事業者の双方がルールに従ってネズミ対策を行っていく形を作った。
その結果「ごみ袋の路上出しは原則禁止とし、蓋つきの容器に入れて排出する」や「飲食店は終業後から午前2時の間に排出し、収集事業者は午前5時までに収集する」といったルールを策定。飲食店と廃棄物収集業者に周知のうえ2023年11月より適用した。
関係者がこのルールを守ってごみを排出すれば、ドブネズミの被害減少が期待できる。これは、まさに「ごみを通じた地域自治の一形態」であり、関係者が当事者意識を持ってルールを守っていけば、自ずと「清潔で綺麗な街」となる仕組みが住民の側から構築された。
なお、2024年1月に千代田区の公民協働推進制度に基づきTCRと協定が結ばれた。TCRが開発した、ネズミが嫌うハーブの香料を添加した特殊なごみ袋が提供され、蓋つきの容器を設置できない場所でのごみ排出に対応していく提案がなされた。現在その実証実験が進められている。
「協働による繁華街の美化」の課題
新宿二丁目のケースと同様に鍛冶町二丁目でも住民、行政、業者が持てる力を出し合って地域課題を解決していく形が構築されている。
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