今こそ日本とイギリスが関係強化すべき3つの理由 「トランプ2.0」に備え、インド・太平洋地域にも重要
東洋経済オンライン / 2024年6月15日 9時0分
2021年9月、神奈川県横須賀市のアメリカ海軍基地に停泊するイギリス海軍の空母HMSクイーン・エリザベス。日本との防衛・安全保障関係強化のために話し合った(写真・ 2021 Bloomberg Finance LP)
2024年4月の岸田文雄首相のアメリカ訪問は、日本のメディアよりもむしろ、アメリカのメディアにおいて大きく報じられた。ワシントン・ポストは「Japan may be the U.S.’s most important ally (日本はアメリカの最も重要な軍事同盟国と言える)」とポジティブに報じた。
こうした報道で必ず言及されるのは、中国の南シナ海や台湾海域での威圧的な行動、そして、2022年末に明言された日本の防衛費増大計画である。アメリカにとって、さらなる中国との対立を考えたとき、日本の存在は極めて重要となってきたということだろう。
「もしトラ」へのリスクにどう備えるか
一方、アメリカでは、トランプ前大統領がニューヨーク州の裁判所で有罪判決を受けた。しかし、トランプの支持層は、こうした結果に動揺することなく、「控訴すれば結論は変わる」くらいにしか思っていないようだ。
判決後に行われた調査会社モーニング・コンサルトの世論調査では、バイデン大統領支持率が43%に対して、トランプ支持率は44%とバイデン大統領を1ポイントリードした。「トランプ2.0」への備えを怠ることはできない。
トランプの政策としてはっきりしているのは、バイデン大統領が成果を上げたことに対して否定をすることである。前回の就任時も「パリ協定」から即日離脱し、世界に背を向けた。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定からの離脱も同様である。
バイデン政権は、EUや日本という同盟国との連携を重要視することで成果を上げてきたが、これらも順次否定するだろう。すなわち、アメリカの問題は、分断化された国内の対立構造が極端化し、結果として国際社会から乖離していくということだ。この構造は、トランプがいなくなっても変わらない。
こうしたリスクに対して、日本はどう対応すべきか。筆者は、イギリスとの関係強化を図ることが1つの方策だと考える。イギリスと日本は国際社会での立ち位置において共通点が多く、日本にとって将来極めて重要なパートナーになる。
それはなぜか。日本とイギリスが同盟レベルにまで関係性を強化すべき3つの理由について、歴史を振り返りながら述べたい。
まず1つは、両国とも「海洋国家」という共通性にある。日本については、その外交のキーワードである「自由で開かれたインド太平洋(FOIP、Free and Open Indo-Pacific)」が示すように、インド太平洋地域が安全保障と経済の生命線となっている。
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