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飼いネコの「胸のしこり」放置で起きていた"悲劇" 9割は予防可能、知っておきたい「ネコの乳がん」

東洋経済オンライン / 2024年6月16日 8時50分

良性の腫瘍であれば、細胞は正常な乳腺の細胞とあまり変わらない比較的整った形をしています。

しかし、悪性腫瘍、つまりがんだと、下の図で示したように、正常な構造から大きく逸脱した異常な形が観察できます(※外部配信先ではイラストを閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)。

乳腺に発生する腫瘍の良性と悪性の割合でいうと、ネコでは、乳腺腫瘍の80~90%が悪性の乳がんです(ちなみに、イヌではほぼ半々です)。

ネコの乳がんも、がんが見つかったら、人間と同じように手術でがんのある乳腺を切除したり、リンパ節などほかの組織への転移が認められれば、抗がん剤などの薬を用いた治療を行ったりします。

初期のがんであれば手術で完全に摘出できる可能性が高く、その後も長く生きられることが多いのですが、しこりの大きさが2センチを超えると、その後の生存期間が大幅に短くなるというデータがあります。

ですので、腫瘍が2センチを超えないうちに飼い主が見つけてあげられるかどうかが、その子の運命の分かれ目となります。

ぼくは獣医病理医として、「うちの子のお腹のあたりにしこりがあるのには気づいていたのだけれど、しばらく様子を見ていて……」という飼い主さんにたくさん接してきました。

専門家でもなければ、よくわからない場合「様子を見る」という行動をとりがちになるのはよくわかります。しかし、様子を見てしまった結果、がんが肺や肝臓に転移し、手の施しようがなくなるということが多いのです。

遺体を解剖した子の中には、レントゲンで肺が真っ白に写っていて、肺の9割方ががんに置き換わっていたケースもありました。

咳をしていたから風邪だと思っていたら、実は乳がんが肺に転移していた、ということもあるのです。動物は言葉をしゃべりませんが、その子は呼吸困難で亡くなるまで相当に苦しんだことが容易に想像できます。

ネコの乳腺にできる腫瘍のほとんどががんであることを考えると、しこりに気づいた飼い主さんは、できるだけ早く、その子を動物病院に連れていってあげてください。

知っておきたい乳がんの予防法

大切な家族が乳がんにならないために、また不幸にして乳がんになってしまっても早期発見するためには、どうすればよいでしょうか?

飼い主さんができる乳がんの予防法が2つあります。

1つは、マッサージによるチェック。

人間でもそうですが、乳がんの早期発見にはセルフチェックが欠かせません。ネコは自分でチェックすることができませんので、飼い主さんが代わりにやってあげましょう。

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