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ダウン症児を虐待、私の愚行から考える偏見の真因 不寛容な日本社会の根底にあるのは「無知」

東洋経済オンライン / 2024年6月16日 12時0分

反知性主義が叫ばれるようになって久しい。だが、人間が総合的な存在である以上、生産性という、たった1つの物差しによって偏見を抱き、差別するのではなく、相手を理解し、よりよい接しかたを見つけていくための知性がこの社会に必要だ。

ドラえもんに「10分おくれのエスパー」という話がある。この話では、ジャイアンが友だちを一方的に傷つけるのだが、彼の脅し、理不尽さにのび太は屈し、正しいのはジャイアンだ、といってしまう。彼は帰宅し、強い後悔の念とともにこうつぶやく。

「正義を守るにも力がいるんだなあ。力が欲しいなあ」

そう。私たちには力が必要だ。ただしそれは腕力ではない。権力でもない。知性という力だ。私たちが自らの無知を知り、いくつになっても学ぶことを忘れず、現実を知り、子どもたちに伝えていく。この努力なくして、寛容な社会など永遠にやってこない。

世界に誇れる寛容な社会を作る

障がいを社会にひらく。それは途方もないエネルギーを必要とするだろう。

だが、世界に誇れる寛容な社会を作る、という目標は、私たちがチャレンジする価値のある、全力で取り組むべきテーマではないか。同時にそれは、社会的な虐待をし、その事実と向き合おうとしないまま、大人になった私(たち)の責任でもある。

<未知>なる現実へと若い人をいざない、<既知>に変え、<無知>ゆえに生まれる偏見、そして差別をなくしていく。そのためには、まず、私たち大人が、障がいを知り、これまでの自分の愚かさを省みなければならない。

井手 英策:慶應義塾大学経済学部教授

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