今年は昨年以上「夏の暑さに備える」ための養生法 今から始めて徐々に体を変えていくことが大事
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 10時0分
気象庁の予報によると、どうやら今年の夏は例年以上に暑くなる模様です。近年では、毎年のように熱中症が問題となっていますが、今年はさらに熱中症にならないようなからだ作りが必要になると思われます。
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そこで今回は、今から始めたい「暑さを乗り切るための準備」について解説していきます。
体内の環境を一定に保つ体のしくみ
はじめに人間の体の機能について触れておきたいと思います。
人間には、気温や気圧など環境の変化に対して体内の環境を一定に保とうとする「ホメオスタシス(恒常性)」という機能があります。
例えば、急に気温が上がったからといって、同様に体温が急激に上がることはありません。ホメオスタシスによって、暑ければ発汗して熱を体外に放散し、体温の上昇を防ぎます。これは寒いときも同じで、毛穴を閉じて鳥肌を立て、熱を産生して体温を一定にします。
これらの反応は意識的に行うものではなく、ホメオスタシスにより自律神経が働くことで自動的に行ってくれています。
このホメオスタシスは医療系の大学・学部では必ず勉強する言葉ですが、近年注目され始めているのが「アロスタシス」という機能です。
アロスタシスは比較的歴史の浅い生理学の原理のことで、私が薬学生だったころに習った記憶はありません。しかし、アロスタシスの概念は神経科学の分野の進歩とともに発展し、近年ではこの言葉をよく聞くようになりました。
アロスタシスは日本語では「動的適応能」と訳され、外的な環境の変化を予測して、体が変化し環境に適応していく機能を指します。
環境の変化がどうであれ、体の状態を一定に保とうとするホメオスタシスに対し、変化する環境に適応するために必要に応じて自分自身を変えていくのがアロスタシスなのです。
例えば、定期的に運動を続けていると、心臓や肺の機能が強くなり、日常生活で階段を上がっても息が切れなくなりますよね。このように体を動かすことに耐性のある体がつくられていきますが、この際、運動により筋肉が強くなるだけでなく、内臓や神経系なども強くなっていきます。
これがアロスタシスの機能なのです。
ちなみに、運動をすることで得られる体の変化は、夏の暑さ対策にも役立ちます。というのも、血流が良くなると心拍数が上がり、汗をかきやすくなります。運動により、夏のような体内環境が作られるからです。
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