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あなたの沿線で「交通系ICカード」乗車が消える日 首都圏目線では気付かない「ガラパゴス化」

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 12時40分

カード会社側はタッチ決済乗車をアピールするためのポイント加算やキャッシュバックキャンペーンを打ち出した。JCBはタッチ決済対応マークのあるカードもしくはApple Pay対応のiPhoneなどで対象の公共交通機関を利用すると、利用合計金額の50%(上限500円相当)をキャッシュバックするキャンペーンを5月26日まで行った。

東急カードは「電車とバスで貯まるTOKYU POINT」に登録したTOKYU CARDでタッチ決済乗車をすれば、乗車ポイントが3%たまる。6月2日まではポイント2倍の6%還元で利用を促した。

今後、実証実験がスタートする首都圏私鉄・地下鉄でも、同様のキャンペーンが行われるだろう。カード発行会社にとってもメリットは大きい。

カードといえば高額なものを買うイメージがあるが、公共交通機関で日常的に利用してもらえるなら、積極的にタッチ決済乗車をアピールしたくなるというもの。乗車分の利用額がまるごとポイント還元対象になるかはカード会社ごとの判断になるだろうが、ポイ活好きの間で注目を集めそうだ。

とはいえ、首都圏の交通網は交通系ICカードががっちり押さえている。JRグループでタッチ決済乗車に対応しているのはJR九州のみ。勝ち目はあるのか、と首を傾げる声もあるだろうが、そこに衝撃的なニュースが飛び込んだ。

熊本県内で路線バスや鉄道を運行する5つの事業者が、全国交通系ICカードによる決済を年内にも停止し、クレジットカード等のタッチ決済を導入する方針を決めたという。理由は読み取り端末のコスト。現在多く使われている地場限定「くまモンのIC CARD」とタッチ決済に対応した機器に更新すると、現行端末を更新する費用に比べて約半分で済むとか。

便利なはずのものをあえてやめる、というのは、利用者にとって不便を強いるように思える。

しかし、どうもそうではないようだ。首都圏目線では全国交通系ICカードさえあればという意識になりがちだが、熊本県民の間での使用率は路線バスで24%、電車で18%の利用にとどまる。出張先で当たり前のようにSuicaを出して電車に乗ろうとしても乗れない日がやがて来てもおかしくない。

首都圏目線に欠けている、ある問題点

なぜ地方では交通機関への乗車にカードによるタッチ決済を選ぶのか。

キャッシュレス化を進めるなら交通系ICカードのほうが便利ではないかと、筆者もそう思っていた。その認識が一変したのが今年2月のこと。筆者は毎年、プロ野球キャンプを見るため沖縄を訪れている。沖縄本島内の移動はレンタカーが必須だが、キャンプ観戦のネックは駐車場の確保だ。早朝からすぐに満杯になり、球場に着いても車が駐められない駐車難民が大量に発生する。そこで、今年はいっそのこと車を諦め、タクシーとバスで移動することにした。

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