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あなたの沿線で「交通系ICカード」乗車が消える日 首都圏目線では気付かない「ガラパゴス化」

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 12時40分

改めて調べてみると、沖縄県内には高速バスや路線バス網が張り巡らされており、目的の球場付近まで移動するのも可能とわかった。長距離のバス移動にはそれなりの運賃がかかるが、レンタカー代や駐車場ストレスを天秤にかけると許容範囲と判断した。そこまではよかったのだが、問題はバスがなかなか時刻表通りに来ないこと。これがいわゆる沖縄時間かと最初のうちは思っていたが、理由は別にあった。

見ていると、ほとんどの乗客が運賃を現金で払うのだ。バスのドライバーは、客一人ひとりの整理券を目視で確認し、運賃の確認をし、両替をし……とやることが多い。降りる客が多い観光地付近ともなると、かなりの時間がとられる。これでは発車が遅れるのも無理はない。なぜ支払いをICカードでキャッシュレス化しないのだろうと不思議だった。運転手の負担も減るし、乗客もいちいち両替したり小銭を探す必要がない。運行の遅れも減るだろうに――と。

沖縄にもOKICAという交通系ICカードがあるが、バス客の間で普及しているようには見えなかった。ICカードでバスに乗るのが当たり前の東京モンには不思議でならなかったのだが――。

そこに盲点があった。首都圏で生活していると、当たり前のように電車で移動する。SuicaやPASMOのチャージは、乗降する駅の券売機等で行う。しかし、沖縄本島には鉄路がないのだ。「ゆいレール」以外、JRも第三セクターも地下鉄もない。移動の合間にチャージできる駅がないのだ。

ICカードを使おうとすると、いちいちチャージできるスポットに行くことになる。OKICAの公式サイトには、ゆいレールの駅や沖縄銀行・一部ショッピングセンターでチャージできるとあるが、わざわざそこまで行かなくてはいけない。バスの車内でもチャージできるそうだが、だったら現金払いのままでも手間は変わらない。

そもそもチャージする場所が少ないのに、交通系ICカードが便利だから使おうとは考えないだろう。だからこそ、チャージ不要で手持ちのクレカがそのまま使えるタッチ決済乗車を導入する意義があるのだ。沖縄では一部の路線バスで、すでにクレカのタッチ決済乗車を採用しているが、そういうことだったのか。これは東京目線では気づけない点だった。

沖縄だけでなく、車社会で鉄道の移動機会が減っている地方では、同じような事情があるのではないか。交通系ICカードが便利と考えるのが、鉄道網が整っている都市部に限られるとすれば、先の熊本県の決断も頷ける。熊本県だけでなく、同じような自治体が今後増えてくる可能性は大いにある。

首都圏こそガラパゴスになりかねない?

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