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野菜も旅も!パナソニック、eコマース参入の狙い 2040年を見据え、藤沢で地産地消型新ビジネス

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 8時50分

心強い援軍もいる。地元でインターネット形式の情報マガジン『湘南経済新聞』を配信する三浦悠介・フジマニパブリッシング代表取締役がその一人だ。

三浦さんは藤沢市で2003年にフリーペーパーとして同新聞を創刊。市内のさまざまな事業者や行政関係者と強いつながりを持ち、「ハックツ!」の事業構想や個別企画作りでも親身にアドバイスしている。フジマニパブリッシングはNEKTONブランドのコワーキングスペースも運営し、無償で受け渡しスポットを提供している。

その三浦さんは「ハックツ!」の取り組みを高く評価し、こう語る。

「これまで藤沢市にはいろいろな企業が入り込もうとしてきた。市役所とも連携協定を結ぶなど、さまざまな取り組みが見られたが、その多くは自社の利益の最大化が目的。それに対して『ハックツ!』の関係者は一生懸命地元に密着し、自社の利益を優先せずに、新たな価値を作ろうとしている。この真摯な姿勢には感動すら覚える」

かつて藤沢市にはテレビなどを製造するパナソニックにとって関東初進出となった家電工場があった。しかし工場は2009年に閉鎖され、その跡地は「Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(SST)」として住宅地に生まれ変わった。

「ハックツ!」も当初は展開エリアをパナソニックが開発にかかわったFujisawaSSTを中心とし、その周辺を含む市内の限定的なエリアの顧客を対象にスタート。そこでの試行錯誤を元に、2年目の2024年度は市内全域への展開へとステップアップを狙っている。

この間、ニーズが少なく、コストが合わないことから宅配での受け渡しをやめる一方、市内の各地に受け取りスポットを開設し、ユーザー自らが商品を取りに行くスタイルに変更した。顧客が自ら商品を取りに行くことで、ユーザーは配送料を払わなくて済む。受け取りスポットとなるコワーキングスペースやホテルなどは、新たな集客も期待できる。

地元農家には配送の手間がないのが魅力

地元の農家など、加盟店の開拓にも力を入れている。地元の農家にとって、どんなメリットがあるのか。

藤沢市で有機農業を営む「にこにこ農園」の井上宏輝さんは、これまで得意先の飲食店や個人宅に取れたての野菜をトラックに積んで届けてきた。夕方までに農作業を終えた後、一通りの配送を終えると自宅に戻るのは午後9時頃にもなるという。47歳の井上さんは、「だんだん体力的にも厳しくなってきている」と打ち明ける。

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