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野菜も旅も!パナソニック、eコマース参入の狙い 2040年を見据え、藤沢で地産地消型新ビジネス

東洋経済オンライン / 2024年6月18日 8時50分

「『ハックツ!』の場合、配送を担ってもらえるのでとても助かる」と、井上さんは評価する。これまで井上さんは、キクイモ掘りなど農作業体験イベントにも積極的に協力し、「ハックツ!」の認知度向上にも一役買ってきた。

他方で「ある程度、安定した注文がないと厳しい」と課題も指摘する。現時点では、「ハックツ!」の受け渡しは週1回の金曜日。にこにこ農園にも、毎週確実に注文が入るわけでもない。

「有機農業の特性からも、お客さんにはいいときも悪いときも継続的にお付き合いしてもらえることを望んでいる。有機農業の特性やその難しさなど、生産者と消費者のお互いが理解を深めることがなければ、真の意味での関係性の構築は難しいのではないか」(井上さん)

この点ではまだまだ踏み込みが足りないとも言える。

とはいえ、関係作りは少しずつ進んでいる。課題だった商品の仕分け作業では、新たに地元の担い手が現れた。

当初はパナソニックHDの社員が仕分け作業に従事していたが、藤沢市内の社会福祉法人「藤沢育成会」が運営する障害者の就労支援事業所「みらい社」が業務を引き受けた。2024年4月以降、毎週金曜日の午後1時から2時にかけて、各ユーザーの注文ごとに3~4人のスタッフが商品を仕分けし、袋詰め作業をしている。藤沢育成会は、前出の三浦さんが、パナソニックHDに紹介した。

障害者の就労支援事業所が「ハックツ!」の仕分け作業を担う意義について、みらい社施設長の三嶌悟さんは次のように語る。

「パナソニックHDという大企業と一緒に仕事をすることで、当事者にとっても自信になる。課題である工賃の引き上げにもつながることを期待している」

地元ホテルと連携、新たな藤沢観光の構築目指す

地元のホテル関係者も「ハックツ!」との連携に期待を込める。

「ハックツ!」では2024年8月に江の島周辺でのウォーキングイベントを企画。そこでは地元インストラクターによるヨガ体験ツアーや藤沢市内のホテルでのサウナなど、新たな「ウェルネスツーリズム」の実現を目指している。

「ハックツ!」との連携について、「ホテルを利用しながら、これまであまり知られていなかった地元エリアを楽しむといった、従来の湘南・鎌倉観光とも異なる新たなエンターテインメントを実現させたい」。

「8(エイト)HOTEL湘南藤沢」を運営する湘南レーベルの谷内香取締役はこう期待を込める。

「ハックツ!」が「ジモタビ」と称し、同ホテルとタイアップして2024年3月3日に実施した、「NEKTON FUJISAWAでの地元産はるみ米のおにぎり作り⇒にこにこ農園での農園ヨガ体験⇒キクイモ掘り、8HOTEL湘南藤沢でのスパ体験および食事体験」のツアーには、10人の地元在住の女性が参加。1日を楽しんだ。

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