「面接官や上司選べる」若手人材確保の"驚く手法" 人材不足が深刻、人に合わせる人事戦略が重要
東洋経済オンライン / 2024年6月20日 9時0分
日本は今、戦後史上最大の「人材優位時代」になったと痛感している。
筆者はウズウズカレッジという会社でIT分野リスキリング研修サービスと転職サポートを提供しているが、とにかく人手不足が深刻な状況となっている。
仕事はあるのに人手が集まらない「黒字倒産」が起きる時代。東京商工リサーチによると、2023年度に求人難など「人手不足」関連で倒産した企業数は2013年度の調査開始以降最多だったという。
弊社もそうだが、人がいなければ会社は成り立たない。この現実を踏まえ、日本の中小企業が生き残るために避けては通れない「人に関する問題」について考えを述べたい。
過去ではなく現実を「スタートライン」に
人手不足の話題はメディアで絶えないが、筆者の肌感覚では現状を直視している企業はそう多くはない。「日本はまだ経済大国だし」「外国人労働者を確保すればなんとかなる」といった認識がまだまだ根強いのではないだろうか。
一方で、「数字」は日本が向かっている先をあからさまに突きつけてくる。今春卒業した高校新卒者の求人倍率は2023年7月時点で3.52倍と過去最高。バブル期を超える「売り手市場」で、企業側には若手人材確保のため高校新卒生の採用を増やす動きも出てきている。
バブル期と違って、求人倍率が上がっている背景は当然「好景気」ではない。国際通貨基金(IMF)が2024年4月に発表した「世界経済見通し(World Economic Outlook)」では、GDPランキングで日本はアメリカ、中国、ドイツに次ぐ4位。しかも、上位10カ国のうち「名目GDP成長率」が唯一マイナスという状況だ。5位のインドが成長率10%で僅差まで追い上げている。
そんな中で、出生数の減少スピードが緩まる兆しはなく、2024年に初の70万人割れが起きる可能性さえ指摘されている。要は「人は減って仕事は増えている状態」だから、求人倍率は上がっているし、これから先も下がることはない。つまり、相対的に「人の価値」は上がっているのだ。
「だから外国人労働者を雇ってなんとかする」という方策も赤信号だ。「超円安」という状況で「日本で働きたい」という外国人労働者は減っている。出稼ぎするのにわざわざ給料が目減りする国を選ぶ人はいないのだから、当然の流れだろう。
こうして冷静に状況を俯瞰して見てみると、どこにもポジティブな要素がない。筆者もネガティブな話題をしたいわけではないが、現実を見ず楽観視するのは”死”を意味する。企業はこの現実を「スタートライン」と捉え直すしかない。
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