「面接官や上司選べる」若手人材確保の"驚く手法" 人材不足が深刻、人に合わせる人事戦略が重要
東洋経済オンライン / 2024年6月20日 9時0分
相対的に「人の価値」が上がった今、「企業や仕事に人が合わせる」時代は終わったと考えなければならない。「労働力が豊富な時代」に戻ることはもうない。過去を振り返らず、「人に合わせる経営・人事戦略」に舵を切るしかないのだ。
上司選択制を導入している会社
北海道の企業が行っている「上司選択制」を知ったとき、筆者は「確かにこういう動きが出てくるだろうな」と納得した。「上司選択制」とは、上司の性格や得意・不得意をあらかじめ社内に公開し、部下たちはそれを参考に一緒に働きたい上司を選ぶというものだ。
「GOOD ACTION アワード」(リクナビNEXT主催)を受賞した取り組みで、上司とのミスマッチで退職する若者が少なくなかったことが導入のきっかけだったという。結果、離職率減を達成。これが「人に合わせる人事戦略」の好例だ。
「人との相性の問題で異動したいと言えば、他の会社ではワガママだと言われるのかもしれない。でも当社ではそのワガママは許容したい。なぜなら、社員に対して『この上司の下しかダメ』と押し付けるのは不誠実な気がしたから」(同アワードサイトより引用)という同社代表の言葉にあるように、「人が組織に合わせるべき」という従来の社会通念だと発想すら浮かばなかったに違いない。
制度のバックボーンに「望む仕事や技術の習得に集中できる会社にしたい」という意図があったことも重要だ。社員たちは目指すキャリアに合わせて上司を選んだり、上司の苦手部分を補う立ち回りをするようになったり、自律的な社風になったという。
大学生が面接官を選べる制度も
また別の事例では、就活中の大学生が1次面接の面接官を選べるようにした企業の取り組みも話題になっている。こうした「人に合わせる」戦略は、若手人材の確保に頭を抱えている中小企業やベンチャー企業の間で広がっていくだろう。
ここでクギを刺しておきたい。「人に合わせる経営・人事戦略」は「ちょっとやってみて、うまくいかなかったらやめたらいい」レベルで考えてはいけない。これから日本は「人が採りたくても採れなくなる」時代に突入していく。そのような状況を考えると、人材が「ここであれば成長できる」「この会社ならとどまろう」と思えるような仕組みを整えていくことは、これから企業が生き残っていくためには対応必須の課題だと言える。
「働く側に迎合しすぎじゃない?」「そんなに甘やかした若手社員が仕事するの?」と思う人もいるだろうが、働いている社員、求職者にそっぽを向かれてからでは遅い。私も1人の経営者として、残された道は人材が成長や居場所感を感じられるように、「うまくいくまでやる」一択だと肝に銘じている。
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