霜降り明星・粗品の毒舌に覚える「嫌悪感の正体」 アンチコメントが殺到している「3つの理由」
東洋経済オンライン / 2024年6月20日 15時30分
その真偽こそわかりませんが、世間の印象はおおむね「それなら仕方ない」ではなく、「暴言の言い訳」でした。批判を受けたあとに発言したことから理解を得られていませんし、「もし恨み言があったとしても、公然の場で一方的に攻撃していい」というわけではないでしょう。
また、もし粗品さんの言う通り「すべてがコント」なら、「後出しのコメントもその一部」ということになりますが、笑いにはつながっていなかったように見えます。
後出しコメントをした際に発した「そういう芸風で最近は。良いの見つけたと思って」「あんま言ってる人おらんなって」というコメントからは、「みんな言わないことを言うから面白いし、希少価値がある」という意識が透けて見えました。
ただ、それを面白いと感じさせられるのは、主に巨大組織や大物有名人などのアンタッチャブルな相手に対するものでしょう。ネガティブな状況の人に追い打ちをかける必要性はなく、少なくとも「あえて聞きたいことではない」と感じる人が多いから、風当たりが強くなっているように見えます。
藤本さんに至っては本人だけでなく、自らが所属する吉本興業の方針を否定し、業績にも悪影響を与えかねない発言でした。その意味で世間のビジネスパーソンから見たら、「裏切りや告発に近い行為」という感覚があるのかもしれません。
世間の人々をまるで「俺の笑いが理解できない弱者」とみなすような「情弱」と斬り捨てたことも含め、攻撃する相手が増えれば風当たりが強くなるのは当然でしょう。
「時代に合わない笑い」の押し付け
粗品さんに対する風当たりが強くなった3つ目の理由は、時代に合わない笑いを押し付けられるような感覚。
粗品さんと言えば、「M-1グランプリ」(ABC・テレビ朝日系)と「R-1グランプリ」(カンテレ・フジテレビ系)の王者であり、笑いの実績は芸人の中でもトップクラスでしょう。ただ、そもそも笑いはあくまで受け手となる“笑う側”がいてこそ成立するものだけに、「これがコント」「これが面白い」などと“笑わせる側”が一方的に押し付けることは難しいところがあります。
“笑う側”の私たちにしてみれば、「誰かを落として笑いを取る」という芸を以前ほど無防備に楽しめない時代になりました。個人の尊重が叫ばれる世の中になって、「少しでもいじめや差別のニュアンスを感じると笑えない」「2人の間に多少の信頼関係や愛情が見えないと安心して笑えない」などと感じてしまう。
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