芸人を開花させる「脱力タイムズ」の凄い作られ方 制作陣が語る「誰も見たことがない笑い」の裏側
東洋経済オンライン / 2024年6月21日 15時50分
そこからもう一度、(『脱力』を担当する放送作家の)寺田智和さんとカツオさんに相談して、修正されたものを有田さんにまた話して、さらにそこから寺田さんとカツオさんが台本を書きます。他の作家やディレクターからもアイデアが出て、それらを足したものをさらに有田さんに当てて最終的に決めていくんです。
収録当日まで僕と有田さんが話して台本を修正したり、当日の現場でも細かな言い回しやスタンスとかが変わることはよくあるので、本当にギリギリまで台本を直してます。こういう作り方は他の番組ではないと思います」(ラリータ氏)
2種類の“台本”の存在
『脱力』の独特さがわかるひとつとして、2種類の“台本”の存在があげられる。
2種類とは、芸人用とそれ以外の演者用の台本。意図的に異なる内容で作られる2つの台本は、放送作家・寺田智和氏とカツオ氏によって書かれている。
演者やスタッフは進行台本にのっとって、フリからオチまで、じっくりと進んでいく。一方、芸人たちは「自分がはまるドッキリに向けた別台本」を渡され、どこにドッキリが起きるのかわからぬまま、じわじわと思わぬ事態に追い込まれていく。しかも、芸人たちにはその要所要所で“笑い”を巻き起こすことも期待される。瞬発力、即興力が試され、そのいい意味での“とんでもなさ”は、何気なく見ている視聴者にもじわじわ伝わってくる。
芸人たちにしてみれば、何が起こるかわからず、冷や汗が止まらない番組だろうが、当然、制作陣は悪ふざけをしているわけではない。
そこにあるのは「芸人たちが思いがけない展開の中で、全力で笑いを作りだす姿を放送したい」「芸人たちが爆発力を発揮するしかない、本気にならないと到底乗り切れない場を用意したい」という思いだ。
それをラリータ氏は、「芸人が一番輝く舞台を作る」という言葉で表現する。そして、その微妙なさじ加減を調整するのが総合演出の有田氏である。
「僕やカツオさんが企画会議に原案を持っていくと、有田さんは『この芸人さんはこういう風にしたら面白くなるよ』と言ってくれたり、番組の“設計図”をくれるんです。その設計図を僕らが細々と肉付けしていって、放送が出来上がるという感じです」(寺田氏)
「有田さんから戻ってくる発想がすごくて、無限の手数なんですよ。そうして『脱力』の魅力、今まで見たことがない笑いが生まれています。とにかく有田さんの観察眼と勝負勘がすごいんです」(カツオ氏)
「誰も見たことがないお笑い」とは?
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