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三軒茶屋が「若者の街」へとひっそり変貌した理由 全国へ波及する飲食トレンドがこの街から生まれる

東洋経済オンライン / 2024年6月21日 13時0分

象徴的な出来事として、名古屋・栄に2020年12月にできた、「三軒茶屋」という居酒屋について少し触れたい。

調べてみると、オーナーはかつて三軒茶屋に住んでおり、三軒茶屋の街が大好きなあまり作った店だという。店の内装やメニューは、まるで三軒茶屋にありそうな「ネオ酒場」(昔ながらの大衆酒場のレトロな風情を残しつつ、現代風のモダンな雰囲気のある酒場のこと)をそのまま名古屋で再現している。さしずめ名古屋に現れた“リトル三茶”だ。

三軒茶屋という屋号を掲げることがステータスになるというほど、三軒茶屋の酒場が「イケてるもの」だという証左のようになっている。

ところで、全国各地には「銀座」を冠したスポットがいくつも存在する。代表的なのは東京都品川区の商店街「戸越銀座」。関東大震災で壊滅した銀座の街に残ったレンガを戸越の再生に役立てたことからその名前が付いたという。

そもそも「銀座」の名前は江戸時代に銀貨の鋳造所があったことに由来するが、現在も老舗百貨店や高級ブティックが並ぶように、昔からさまざまな商店が立ち並び、つねに日本における最先端の文化の発信地として君臨していた。これらのエピソードが転じて、「銀座のような賑わいのある場所」を表す代名詞として各地に”リトル銀座“が広がったというわけだ。

これになぞらえ、遠く離れた名古屋に”リトル三茶“が生まれたのは、「三軒茶屋」は最先端の酒場が栄える場所の象徴であるということではないだろうか。

理由③下北沢の再開発で、若者が南下した

コロナ禍では、特に20代の若い人が増えたと三軒茶屋の飲食店オーナーたちは口にする。緊急事態宣言中にアクティブだったのは20代の若い層と言われていたことに加え、下北沢の再開発も影響していると筆者は考える。

もともと下北沢は10代も多い「若者の街」のイメージが通っていたが、今、その印象も変化している。再開発によって駅前には「ミカン下北」はじめ商業施設が開業。若年層向けの店舗以外にも、30代からの大人が楽しめるような酒場がテナントとして多く入っている。確かに駅前こそ若者でにぎわう下北沢だが、少し奥に入った場所には大人向けの酒場も増えてきている。

その一方で、下北沢の若者たちは三軒茶屋に流れ込んでいるのではないか。下北沢から三軒茶屋までは茶沢通りを南下すればすぐの距離だ。

実際に三軒茶屋には20代に人気のネオ酒場が増えている。栄通り商店街方面にある焼鳥店「酒羅場(しゅらば)」は、若い女性に人気のネオ酒場だ。居酒屋らしかぬカフェのようなスタイリッシュな空間で焼鳥を出すというギャップが人気となり、Instagramで口コミが拡散。店内は見渡す限り20代の女性客でいつも満席となっている。

三軒茶屋の次なるトレンド発信地は?

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