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ドライバー不在「AIカーレース」の息を呑むバトル 完全自動運転に向けたAI技術と人材開発に向け

東洋経済オンライン / 2024年6月21日 8時10分

高速で駆け抜けるスポーツカーを見守るたくさんの観衆。だが、どのクルマにも「ドライバー」はいない(写真:A2RL)

4月27日、アブダビで開催されたAbu Dhabi Autonomous Racing League(A2RL)と名づけられたレース大会。このイベントの最大の特徴は、自動運転AIによって順位を競うことだ。

【写真で見る】ズラリと並んだAIレーシングカー。実走行のデータに基づいたAIを搭載し、生身の人間が操縦しているかのような走りを見せた

イベントの模様はインターネットで中継され、全世界で60万人以上が”高速無人カー”の競争を見守った。

レースのために「特殊な車両」を用意

アブダビ先端技術研究評議会(ATRC)の技術およびプログラム開発組織であるASPIREが管理運営するこのイベントは、次世代の技術を担うSTEM人材の育成も兼ねている。そのため参加チームは、大学や研究機関を中心とする若手のプログラマーや技術者で構成された。

【写真】アブダビで開催されたレースでズラリと並んだ”AIレーシングカー”やレースの様子

レースで使用するレーシングカーには、日本のフォーミュラカーレース「スーパーフォーミュラ」用に開発されたダラーラ社製の「SF23」がベース車両として選ばれた。そして、通常ならドライバーが乗り込むSF23のコックピット部分に、ASPIREが用意する自動運転用コンピューターシステムを搭載。さらに車体各部にはLiDARやレーダー、GPS、コンピュータービジョン用カメラなどを備えたA2RL仕様とし、各チームに同一条件で供給する。

参加チームのプログラマーたちは、供給されたマシンに搭載された各種センサーからの情報をいかに処理し、運転操作に反映するかを連続的に判断・処理するAIアルゴリズムを開発、レースでその能力を競うのである。

近年、自動車に搭載される先進運転支援システム(Advanced Driver-Assistance Systems:ADAS)は機能の向上を重ね、ドライバーの運転ミスによる交通事故、事故による死亡者数の減少に効果を発揮している。そして、ADASの機能を進化させた先に見えてきたのが自動運転の実現だ。

アメリカのハイウェイや日本の高速道路のような、ある程度環境が整備され、周囲の状況が予測しやすい場所で、ドライバーがハンドルやアクセルを操作しなくても自律的に走行できる市販車はすでにある。しかし、一般道を含むあらゆる道路環境、交通状況で安全に走行できるような完全自動運転は、まだ実現できていない。

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