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「苦手な人や嫌いな人」とあえてすべき1つのこと 同じお皿の料理をシェアするとさらに効果的

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 19時0分

みかんを持っているとしたら、自分だけで全部食べようとするのではなく、他の人にも食べるように勧めました。たまたま電車やバスで隣り合っただけの人にも、「おひとつ、いかがですか?」と自分のみかんを半分に分けて申し出ていたものです。今でも、地方に出かけると、年配の人はそういうことを自然にやってくれます。

道端で座り込んでいる人がいたら、たとえ面識はなくとも、「大丈夫ですか?」とだれでも声をかけました。そういうことを当たり前のようにしていました。そういう場面を日常生活の中でも、ちょこちょこと目にしていましたから、「目撃者効果」が起きて、日本人全体が親切だったのです。

ところが時代は変わって、最近では、あまり親切な人を見かけなくなりました。これはまことに残念なことです。

「社会を変えよう」などと大きなことを申し上げるつもりはありませんが、せめて自分1人だけは親切なことをしましょう。そうしていれば、少なくともみなさんの周囲には、善意に溢れた人たちが増えるでしょう。

相手の気持ちに「共感できる人」と「できない人」

他の人に対して親切な振る舞いができる人のことを、心理学では「愛他性」とか「愛他主義」という言葉で表現します。逆に、自分のことしか考えない人のことは「利己性」で「利己主義」です。

自分が損をしても、あるいは自分が犠牲になっても、他の人のために行動できる人は愛他性が高いわけですが、どうして愛他的な人はそういうことができるのでしょう。その理由は、相手の境遇を、あたかも自分のこととして認識しているからです。

苦しくて困っている人を見かけると、愛他的な人は、「他人事」ではなく、「自分のこと」として共感するのです。自分が苦しくなるのです。ですから、その苦しみを軽くしてあげたいと感じ、親切にできるのです。

ペンシルバニア大学のクリスティン・ブレセル=ハウアウィッツは、究極の愛他性を持っている人たち、すなわち、自分の腎臓を知らない人に提供した25名と、年齢が同じくらいの比較のためのグループ27名に集まってもらい、ペアでの作業をしてもらいました。

どんな作業かというと、最初の2回は、ペアになった人が痛い思いをする(右手の親指の爪を万力で締めあげて強い圧を加える)のを眺め、3回目は自分自身が同じ痛い思いをするのです。

この作業をしているときの脳の活動を、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)という装置で調べてみると、愛他性の高いグループでは、自分が痛い思いをするときだけでなく、ペアの人が痛い思いをしているのを眺めているときにも、「島」と呼ばれる痛みを司る領域が活性化しました。

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