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AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 8時40分

トランコムのオフィス。1人2台の電話を駆使し、マッチングを行っている(撮影:永谷正樹)

名古屋市東区にあるオフィスビルの14階。朝から60人ほどのスタッフがパソコン画面に向き合い、デスクに置かれた2台の電話を駆使して荷主企業と運送会社に応対していた。

「〇〇方面の荷物が出る予定はないですか?」「来週愛知に運行する予定はありますか?」など、オフィス内にスタッフの声が響き渡る。

ここは物流企業トランコムの名古屋情報センターで、「アジャスター」と呼ばれる社員たちが働く。彼らは荷主と運送会社の間に立ち、荷物情報と空きトラックの情報を人力でマッチングする「求貨求車」サービスを提供している。

現在、物流業界は2024年問題に直面している。ドライバーに残業規制が課され、拘束時間や休憩時間などのルールも強化された。運送会社の収入は減る可能性がある。荷主企業も物流コストの増加は必至。双方にとって運送の効率化が急務になっている。

トランコムは全国1万3000社の運送会社と連携し、トラックの積載率を底上げすべく日々マッチングを進める。1日あたりの成約件数は約6000件だ。アジャスターの実務から見えてくる物流の現場、そして2024年問題の現実とは。

人力だからできること

アジャスターがマッチングするのは、主にこのような事例だ。運送会社が岡山から愛知へ運ぶ荷物を受注し、トラックを運行するが、荷物を下ろした後、岡山へ持ち帰る「帰り荷」がない。空車ではもったいないので、トランコムのアジャスターに荷物を探してもらう、という流れだ。

アジャスターは文字どおり、さまざまな調整を行う。運送会社にヒヤリングするのは、トラックが荷物を下ろし、空車になる場所、どの方面に荷物を運びたいか、いつまで待てるかなど。車両の設備も把握し条件に合う荷物を探していく。

過去の運行データやリストを参考に荷主企業へ電話をかけ、「明日運ぶ荷物はありませんか?」と営業をかける。荷物があれば何時に積み、どこで何時に下ろすのか。重量や梱包の状態を確認する。そして「この荷物とこのトラックが近い」と当てはめていくわけだ。

これらを荷主企業の配車担当者が再現するのは極めて難しい。日頃から取引関係のある業者に電話をかけ、運行できるかどうか確認する。すぐに返事をもらえることもあれば、待たされることもある。

トラックを確保できなければ次の会社、また次の会社へと電話し、結局、付き合いの薄い業者から「通常より高い運賃なら受ける」と言われてしまうこともある。

この点、トランコムは1万3000のパートナー運送会社を抱える。現在、国内の運送事業者数は約6万3000社で、5社に1社はトランコムと提携している。着実にトラックを押さえられるのは強みだ。結果的に運賃を安く抑えられるケースもある。

「混載」「におい」にも配慮

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