AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘
東洋経済オンライン / 2024年6月22日 8時40分
「コンパス」と呼ばれるシステムの画面で荷主の情報と空車の情報を確認しながらマッチングを行うアジャスターたち。一見パズルのようにロジカルな作業にも見えるが、実はマッチングで重要なのは普段からの人間関係でもある。
西日本セクションを担当する花井貴矢氏は「トランコムという会社より、アジャスターの〇〇さんに荷物をお願いしたいといったお客さんも多い。日頃から関係をつくっていくことが大事」と語る。
荷主が荷物を送ろうと思い立ったとき、いつも電話をくれるアジャスターの名前を思い出してもらうわけだ。
荷主の中には、真っ先に電話がきた会社に運送を依頼する会社もあるという。絶えずコミュニケーションをとり、閑散期も着実に荷物を獲得してマッチングにつなげる。アジャスターは営業マンの側面も大きい。
閑散期で迎えた2024年問題
日々配送の成約を進めるトランコムだけに、物流2024年問題の影響は肌で感じ取っている。運送会社は拘束時間や休息時間などの規制も考慮し、450キロを超える長距離の運行をやや渋るようになってきた。名古屋発の運行では岡山周辺がメドになるという。
現在の物流業界は閑散状態だ。原材料高や円安による値上げラッシュなどで消費が低迷し、荷物が少ない状態で2024年問題を迎えてしまった。そのため、運賃の値上げは難題だ。
コスト増の対応や社員、協力会社の待遇改善に向けて、業界大手のヤマト運輸や佐川急便、西濃運輸などは運賃値上げを進めるが、荷物が少ない状態は荷主が安い運送会社を選べる状態でもある。トランコムも荷主に対する値上げは進んでいない。
トランコムは粘り腰で荷主と交渉を続ける構えだ。アジャスターと情報センター長が荷主を訪問し、直接交渉する機会も増えている。もちろん、運賃を上げてパートナーの運送会社に還元するためだ。
いずれ荷物量が回復すれば、ドライバー不足や運べないリスクは必ず浮上する。マッチング技術と1万3000社のネットワークを堅持する必要がある。神野裕弘社長は「運び方を工夫する力は長年培ってきた。最適な運び方を提案し、荷主にも運送会社にも支持されるようにする」と語る。
AIでは代替不可能、人力を武器に業界の効率化を進められるか。トランコムにとって、2024年問題への対応はこれからが勝負どころだ。
田邉 佳介:東洋経済 記者
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