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AIでは無理!物流トラック「人力仲介」のすごみ 2024年問題で脚光、名古屋企業トランコムの奮闘

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 8時40分

運送会社も同様だ。業界は営業拠点を持たない小規模事業者が多い。トランコムは全国51のセンターに約600人のアジャスターがいる。どの方面へ運行しても、帰りの荷物を確保してもらえることがメリットになる。

マッチングの中には、より高度な配車や提案を求められる場面もある。そのひとつは1台のトラックに複数の荷主の荷物を積む「混載」だ。スペースを確保できるか。荷下ろし時間を守れるか。後に下ろす荷物は何時まで待ってもらえるかなど入念に確認する。においが移る荷物の組み合わせを避けるなど、人力ならではの配慮も必要だ。

アジャスター歴13年、名古屋情報センターで西日本セクションのチーフを務める蟹江佑香理氏は、視野を広げてマッチングにあたるよう普段から指示を出す。情報はつねにチームで共有しており、マッチングが滞っている案件があれば、即座にチェックする。

西日本セクションは中国、四国、九州と3つのエリアに分かれている。山口に荷物があるが、条件に合った空車がない状態もありうる。そんなときは山口ばかり探すのでなく、広島や九州などほかのエリアから配車の可能性を探るなど、広い視点が必要だ。別の情報センターと連携してトラックを探すこともある。

多くのトラックは午前中に荷物を届け、午後に荷物を積み込むサイクルで運行している。僻地や荷主の都合で午後指定の荷物があると、アジャスターもパートナー運送会社へ依頼するか悩んでしまうケースがあるという。

配送方法はいくつもある

蟹江チーフはこうした例を見つけると「午前中に積み替えて、下ろし先に届けられる車両を探すなど、別の方法を探そう」などとアドバイスをする。答えは一つではない。工程を切り離して考える柔軟な発想も必要だ。

たとえば、名古屋に広島行きの荷物があるとする。しかし、岡山までのトラックしか確保できない。そんなときは岡山まで運び、その先は広島に届ける別のトラックを手配するなど、アジャスターがリレー形式の輸送を組み立てることもある。

運送会社の事情も加味して提案するのは容易ではない。荷主に対し「運賃は高くなるが、この方法でよいか」と交渉する力も必要だ。不測の事態もしばしば発生するため、現状、アジャスターの業務はネット上のマッチングやAIに置き換えることはできない。

蟹江チーフは組織力でマッチングする強みを語る。「荷物を受けるかどうか迷ったらやろうと言っている。自分でトラックを探せなくてもチームで探す。センター全体でも探す。途中までしか運行できないなら別のセンターに頼んで探せばいい。全国に何人アジャスターがいると思っているんだと(笑)。なんとかなります」

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