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世界最高峰の心臓外科医が留学後に受けた「屈辱」 「白い巨塔」にはびこっていた"排除の力"とは

東洋経済オンライン / 2024年6月23日 19時0分

いずれも不正解です。

なぜ、いま自分と周囲の評価がかけ離れているのかを考えるべきなのです。自分に何が足らなかったのかを。あきらめても、自棄を起こしてもいけません。私がもしあのときに自棄になっていたら、世界一の心臓血管外科医にはなれなかったでしょう。

周りからの評価は冷静に受け止め、いま何が足りていないのかに気づくことが、自分の心の成長につながるのです。

「屈辱」をバネに難手術を次々と成功

人が大きく成長するカギは、挫折を味わったときと、屈辱を味わったときだと思います。

挫折は自分との対話によって味わうものですが、屈辱は誰かによってもたらされる、より味わいたくない感情です。残念ながら私は後者でした。

ハノーファー医科大学での2年半、そして富山医科薬科大学での8年間は、私を医師として大きく成長させてくれました。

富山医科薬科大学時代に「オフポンプ手術」「アウェイク手術」そして「完全内視鏡下手術」に取り組み、成果を上げられたことには、周囲の方たちにも深く感謝しています。

とくに、私のチャレンジを温かく見守ってくれた山本恵一教授には感謝の念に堪えません。

もし、ドイツから帰国したあと、金沢大学に残っていたら飼い殺しにされてチャレンジできなかったかもしれません。いま振り返れば、富山医科薬科大学に勤められたことは、私にとって幸運なことでした。

それでも、かつては尊敬していた金沢大学の助教授から、「君の居場所は、ここにはないよ」と告げられたあの日のことは絶対に忘れないと心に誓いました。

8年間揺るがなかった断固たる「決意」

嫌なことや理不尽に感じることからは「逃げる」という選択肢をとってもいいと思います。体も怪我をしたら手当てをし、リハビリを行って復帰していくように、心も傷を負ったら同じことをすべきでしょう。

ですが、もっとも大切にしていること、たとえば自分の想いや夢を汚されたときだけは、向き合い、立ち向かってください。

とくに、あなたが心のなかで育ててきた想いを、誰かが自分の利益だけを考えて放った発言によって破壊することは、許されないのです。

「必ず旧態依然とした医療のやり方を変えてやる。患者さんたちのためにも」

あのときの決意は結局、8年間、揺るぎませんでした。それがあったからこそ、心臓外科手術に真摯に対峙してこられたのだとも思います。

受けた屈辱は、成長しようとするあなたの心のエサになります。時間をかけても構いません。屈辱と向き合い、多くを吸収し、心をより大きく成長させましょう。

渡邊 剛:心臓外科医、ニューハート・ワタナベ国際病院総長

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