人類が遠い惑星に住むための独創的なアイデア どうすれば人間が居住可能な世界にできるのか
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 15時0分
生物に優しい惑星がどこか別のところにあるわけないと言っているのではない。ただ、そんな地球の生物に適合する環境がすでに出来上がっているような惑星はおそらく他には存在しないだろうと言っているだけだ。
地球の歴史で起こった重要な出来事のうち、たった1つでも起こらなかったり、少しだけ違う形で起こったり、あるいは、別の時代に起こっていたなら、今日の地球はまったく違っていただろう。
もしも地球の軌道がもっと太陽に近かったなら、地球は金星に似ていたかもしれないし、もっと太陽から遠かったなら、火星に似ていたかもしれない。強力な磁場と、紫外線をカットしてくれるオゾン層とがなかったなら、地球の表面は絶えず放射に曝され、私たちが知っているような生物は存在しないかもしれない。
また、地球にこれほどの量の水が存在しなかったとしたら、私たちが存続するのに不可欠な酸素を生み出す、光合成を行う植物、藻、そしてバクテリアは十分には存在しないだろう。このような、人間をはじめとする生物に不都合な可能性は枚挙にいとまがない。
太陽以外の恒星を周回している惑星に私たちが旅するとき、たとえその恒星系のハビタブルゾーン〔訳注 恒星系で、主星である恒星からの距離が生物にとって適切な領域。生命居住可能領域〕内に何個か惑星があると予測できても、実際に行ってみたら、人間をはじめとする地球の生物にはまったく適さなかったとわかる可能性もある。
地球の生物が、到着したらすぐ船外に出て、空気を吸い込み、根を下ろし、繁栄と成長をはじめられるような惑星など存在しないことはほぼ間違いないだろう。
これらの新世界の大部分は逆に、有害で、空気はまったく存在しないか、存在しても呼吸には適さないかのいずれかで、土壌には地球の植物を養うのに必要な養分などまったく含まれていない、等々といった状況だろう。
つまり、星間飛行を終えた地球からの移住者たちは、そこに人工建造物を建て、そのなかに閉じこもって余生を過ごすことになるのだ――2つの選択肢の、どちらか1つを行うまでは。テラフォーミングか、あるいは順応か。
ほかの惑星を地球のような環境にする
ほかの惑星を地球のような環境にするテラフォーミングは、何世紀もかかるうえに、どんな結果になるのか予測も付かない事業になるだろう。
このテーマについて真剣に取り組んだ科学論文がいくつも発表されており、対象となる惑星(あるいは衛星)で、大気組成と温度を、そして最終的にはその生態系全体を、地球にそっくりにするため、既存のものを変更するか、もしくはゼロから作り上げるための方法を論じている。
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