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人類が遠い惑星に住むための独創的なアイデア どうすれば人間が居住可能な世界にできるのか

東洋経済オンライン / 2024年6月24日 15時0分

考え方としては新しいものではなく、このプロセスを指すテラフォーミングという言葉は広く使われている。

この言葉は、1942年に出版されたジャック・ウィリアムスンのSF短編小説『コリジョン・オービット(Collision Orbit)』で初めて使われた。それ以来、多くのSF小説に登場したが、描かれ方にどれくらい真実味があるかには幅がある。

たとえばロバート・A・ハインラインの『ガニメデの少年』(矢野徹訳、早川書房)、アーサー・C・クラークの『火星の砂』(平井イサク訳、早川書房)、そしてキム・スタンリー・ロビンスンの火星三部作などが有名だ。

ところが、映画やテレビではあまり扱われていない。人気のテレビシリーズ、『スター・トレック』と『ドクター・フー』のいくつかのエピソードと、『アライバル/侵略者』などのあまりよく知られていない映画に出てくるくらいのものだ。

これらの少数の例を除いて、惑星の生物圏を変えるという壮大な計画は、小説に任されたテーマのようだ。

テラフォーミングは可能なのだろうか?

イーロン・マスクは可能だと考えているようだ。スペースXの創設者でもあるマスクは、火星の極地の上空で数千個の核爆弾を爆発させて氷を溶かし、その主成分と推定されている二酸化炭素と水を蒸発させて火星の大気に拡散させることをはじめとする、非現実的な計画を公に論じている。

マスクによれば、核爆弾を高高度で爆発させれば、環境中に放出される放射線の量を制限できるというのだ。

他の人々は、大量の核爆弾は使わない、すでに実証済みのテラフォーミング手法――すなわち、私たちが地球で行っている、二酸化炭素を大気中に無制限に放出し、その結果気候変動を起こすという残念な手法――を利用しようと提案している。

たしかに、私たちは自分たちの惑星の無制御テラフォーミング(と言うより「テラアンフォーミング」)を行っている。

エアロゲルを使うというアイデア

査読付きの天文学のオンラインジャーナル『ネイチャー・アストロノミー』で発表された非常に興味深い案は、宇宙船の温度維持用に使われているものと類似のエアロゲル〔訳注 超臨界乾燥法によりゲルの溶媒を除去した多孔性の物質〕を使って、火星表面の数箇所である程度の高温を維持し、土壌内部に閉じ込められた揮発性物質を解放しようというものだ。

二酸化ケイ素からなるシリカエアロゲルは可視光に対して透明で、太陽光からのエネルギーを通過させるが、赤外線に対しては不透明になるように製造することができる。

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