インバウンド増えても大変「外食業界」苦悩の訳 コロナ禍前から圧倒的に変わったことは何か
東洋経済オンライン / 2024年6月24日 8時30分
コロナ禍を経て、外食業界が岐路に立っている。過去のように店舗数の拡大に伴って売り上げを伸ばすことで利益成長を図ることが難しくなる中、日本以外に活路を求める企業や、他業界へ参入する企業も増えている。一方で、あくまで外食で勝負する企業は、より「的を絞った」業態で顧客へのアピールを図る。外食産業で今何が起きているのか。
「オリンピック開催時にピーク超え」の夢破れる
市場規模は再びピークに達するかーー。実は2019年、日本の外食産業はにわかに市場拡大に沸いていた。インバウンドの流入によって市場規模は回復傾向にあり、2011年には22兆円だったのが、2019年は26兆円に。
2020年のオリンピックをステップに、1997年のピーク(29兆円)超えも見込まれたが、その矢先にコロナ禍に襲われる。結果、29兆円を超えることは夢物語となるばかりか、2020年には18兆円まで市場規模がシュリンクしてしまった。
ならば、インバウンドが復活している今、外食産業は再び拡大を見込めるのではないか、と思いきや、コロナ禍前から環境は大きく変化。足元では、「人口減少」「人手不足」「コストの高騰」という三重苦が深刻化し、かつてのように国内で、外食事業一本で利益拡大を図り続けるとこのハードルが上がっている。
まず人口減少でいうと、日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少に転じた。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると2048年に9913万人となって1億人を割り込んだ後、2060年には8674万人、2100年には4959万人となり、5000万人を下回る見込みだ。
生産年齢人口もこれと並行して減っており、国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると 2030年には6773万人、そして2060年には4418万人まで減少するとみられている。
もともと外食業界では、コロナ禍前から人手不足が深刻だった。特に正社員の採用に関しては、新卒からも中途からも積極的に選ばれていない。そこに追い討ちをかけるように、現在、アルバイト先としての人気も著しく低下。ここ数年は、1回の求人広告の掲載では面接に誰も来ないことも目立つ。
その大きな原因が時給だ。現在、東京都や神奈川県、埼玉県など8都府県に関しては、最低時給が1000円を超えている。多くの飲食店がそれを上回る金額で募集をかけているが、他の業界ではそれ以上に時給を上げているケースが多く、飲食店の人手不足が常態化してしまっている。結果、営業時間を短縮したり、定休日を増やしたりする飲食店はめずらしくない。
利益圧迫要因が増え続けている
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